今シーズンのF1は、開幕4戦を終えてレッドブルのマックス・フェルスタッペンが3勝。ドライバーズタイトル4連覇に向けて死角なしといったところだ。この状況にメルセデスのチーム代表であるトト・ウルフは白旗を上げ、フェルスタッペンがチャンピオンを獲るのは間違いないと指摘している。

 しかしレッドブルのクリスチャン・ホーナー代表はこのウルフ代表の発言を聞いて喜ぶようなことはなく、まだ先は長いと気を引き締める。

 フェルスタッペンは2021年を皮切りにF1ドライバーズタイトルを3連覇中。レッドブルも、コンストラクターズタイトルを2連覇しており、特に昨年は1回しか負けなかったという圧倒的な強さだった。

 今年もその強さは変わらず、開幕4戦を終えた時点で3勝。しかもその3勝はいずれもフェルスタッペン優勝、セルジオ・ペレスが2位という1-2フィニッシュだった。

 その状況についてメルセデスのウルフ代表は、フェルスタッペンを止められると考えるのは夢物語だと語る。

「今年は、誰もマックスを捕まえることはできないだろう」

 そうウルフ代表は日本GPの際に語った。

「彼のドライビングもそうだが、マシンも本当に素晴らしい。彼がタイヤをどうマネジメントしているかということもみれば、今年はベスト・オブ・ザ・レスト(残りの中で最高のポジション)を争うシーズンになるだろうね」

 しかしレッドブルとしては、物事はそれほど単純ではないと考えている。

 ウルフ代表のコメントについて尋ねられたホーナー代表は、次のように語った。

「1年を終えるのが早いね!」

 そうホーナー代表は語った。

「まだ20レースもあるんだよ。でもこの何年もかけて、トトが言うことを真に受けてはいけないということを学んだよ」

 レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーであるヘルムート・マルコも、ホーナー代表の考えを支持した。

「ほっといてほしいね」

 マルコ博士もウルフ代表のコメントについてそう語った。

「まだ4戦しか走っていない。まだ20戦残っている。(レッドブルがここまで唯一負けた)メルボルンでは、状況がいかに早く移り変わるかを目の当たりにした。フェラーリは強く、信頼性もある。まだ見捨てることはできないと思うね」

 しかし、フェルスタッペンのドライビングが素晴らしいというウルフ代表の発言については同意できると、マルコ博士は語る。

「我々は確かに良いクルマを持っているが、その中でマックスは違いを生むのだ」

 そうマルコ博士は言う。

「鈴鹿では全てが問題なかった。しかしマックスは、摩耗したタイヤで信じられないようなファステストラップを記録したんだ。ただ楽しんでいただけではない。彼は『やあみんな。僕以外の人は、2位を目指すためにここにいるんだよ』というメッセージを伝えるために、そういうことをするんだ」

 ホーナー代表も、まだまだチャンピオン獲得までの道のりは遠いものの、今季のフェルスタッペンが非常に優れていると評価した。

「彼の調子はとても良いと思う」

「彼は冬の間にトレーナーを変えた。彼の体調は問題なく、引き締まっている。マシンは素晴らしい領域にある。彼がクルマに乗っている時には、余力が伝わってくると思う」

「彼は自分の後ろに誰がいるのかということだけではなく、そのさらに後ろに誰がいて、何をやっているのかも知りたがるんだ。彼の能力は非常に印象的だ。そう、彼は昨年の調子をまさにそのまま引き継いでいるんだ」