上海国際サーキットを舞台に開催されているF1第5戦中国GP。スプリントでは、レッドブルのマックス・フェルスタッペンが優勝した。

 5年ぶりのF1開催ながら、いきなりスプリントフォーマットで実施されることとなった今回の中国GP。今年からフォーマットが変更されたことでグランプリ初日にスプリント予選が実施され、雨の中マクラーレンのランド・ノリスがポールポジションを獲得し、メルセデスのルイス・ハミルトンがフロントロウに並んだ。

 スプリントが行なわれるグランプリ2日目の天候は曇り。気温20度、路面温度27度というコンディションだった。

 タイヤ交換義務のない19周のスプリントではほとんどがミディアムタイヤを装着。決勝に向けてタイヤを温存すべく、ユーズドタイヤを選んだマシンも多かったが、フロントロウのふたり、5番手のカルロス・サインツJr.(フェラーリ)、19番手とスプリント予選で苦しんだRB角田裕毅が新品のミディアムタイヤを使用した。11番手のジョージ・ラッセル(メルセデス)は、なんと新品ソフトタイヤをチョイスした。

 全車がグリッドに並びスプリントの幕が上がると、ノリスとハミルトンが横並びでターン1へ。両者一歩も引かず、アウト側にいたノリスはコース外へはみ出す形となり、大きくポジションを落とした。

 これでハミルトンがトップに。2番手にアストンマーティンのフェルナンド・アロンソが続いた。

 3番手につけたレッドブルのマックス・フェルスタッペンは、パワーユニット(PU)の回生にトラブルが発生したかペースが上がらず、トップ2を追うどころかカルロス・サインツJr.(フェラーリ)の接近を許した。

 ただモード変更の指示をチームから受けて以降、フェルスタッペンはペースを引き上げることに成功。2番手のアロンソに迫り、7周目にはオーバーテイクを完了した。

 9周目に入った時点で、フェルスタッペンは首位のハミルトンをロックオン。ひとつ目のDRSゾーンを利用して、ロングストレート終わりのターン14で一気に抜き去りトップに浮上した。

 フェルスタッペンが逃げ切り体制を築き、ハミルトンも一人旅状態となる一方、3番手アロンソ以下は7番手ノリスまでが数珠繫ぎという状況に。アロンソはサインツJr.を抑え込み、5番手セルジオ・ペレス(レッドブル)もトラクションに苦労してシャルル・ルクレール(フェラーリ)から執拗に攻撃を受けた。

 16周目にアロンソとサインツJr.の表彰台争いが白熱した。一度サインツJr.がアロンソを抜いたもののアロンソが再び仕掛け、両者が接触。その隙を突いてペレスが一気に2台を抜き去り3番手に立った。

 アロンソは接触で右フロントタイヤがパンクしピットイン。結局リタイアとなった。またサインツJr.もこれでマシンにダメージを負い、この接触はレース後の審議対象となった※。

 その後サインツJr.は手負い状態でルクレール相手に激しいディフェンスを繰り広げるも、こちらはルクレールに軍配が上がった。5番手に落ちたサインツJr.は後方からノリスに迫られる形となった。

 先頭に目線を戻すと、フェルスタッペンは9周目にトップに立って以降、後方に13秒以上のギャップを築いてトップチェッカー。2位にハミルトン、3位にペレスというトップ3の顔ぶれとなった。

 サインツJr.はなんとか5位を守り、フェラーリ勢が4〜5位、マクラーレン勢が6〜7位。8位で最後の1ポイントを獲得したのは唯一のソフト勢ラッセルだった。母国戦の周冠宇(ザウバー)は惜しくもポイントに届かず9位だった。

 なお角田は16位フィニッシュ。チームメイトのダニエル・リカルドは11位だった。

 なおこのスプリントの後には、日本時間16時00分から本戦用の予選が実施される。今年からスプリントから予選の間に一度パルクフェルメルールが解除され、チームはマシンのセットアップ変更が可能となった。スプリントイベントでのデータを活かし、勢力図に変化が起こるかもしれない……。

※レース後の審議により、アロンソには10秒のタイム加算とペナルティポイント3の罰則が科された。