牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)の涙の初優勝が多くの者の感動を誘ったスーパーフォーミュラ第2戦オートポリス。その裏で、牧野にも引けを取らないパフォーマンスを見せていたのがチームメイトの太田格之進だった。

 開幕戦鈴鹿で4位に入った太田は、今回の第2戦では4列目の7番グリッドからスタート。序盤は6番手でレースを進め、ピットウインドウオープンとなった10周目にピットに入ると、同じ周回にピットインした山本尚貴(PONOS NAKAJIMA RACING)を追いかける展開となった。ただ山本に追い付いてからは再三プレッシャーをかけたもののオーバーテイクには至らず、5位でのフィニッシュとなった。

 決勝前フリー走行での連続周回でもラップタイムの落ちが少なく、レースペースの良さをうかがわせていた太田。ただ決勝レースの大半を同じストラテジーをとった山本の背後で過ごすことになり、優勝した牧野と26秒差、3位に入った坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)とは17秒差の5位。オートポリスはタイヤマイレージの差などがなければオーバーテイクが難しいサーキットであり、レース展開と予選順位が大きく影響したと振り返った。

「オートポリスはダウンフォースが上手く得られないとラップタイムが落ちてしまいますが、その点で僕はずっと尚貴さんの後ろにいたので(ダウンフォースが抜けていた)。完全クリーンエアだったらどうだったかは分かりませんし、もしかするとイージーに表彰台に乗れた可能性もありますが、そこは展開と予選の順位がモロに出ますから」

「今回は予選Q2で珍しく、失敗とまでは行かなくとも、上手く決めきれなかった部分がありました。もし100分の5秒(予選タイムが)上がっていれば決勝は3番手からスタートできていて、今日のペースなら(牧野との)ワンツーもあり得たと思います。そういう意味では悔しい気持ちもありますが、7番手からスタートして5位に上がってポイントもしっかり取れましたし、最大限の仕事ができたと思います」

 そう語った太田。昨年の最終戦で初優勝を飾ってから、その勢いを崩さずここまで来ている印象があるが、次戦SUGOでは優勝が狙えそうかと質問された太田は、次のように答えた。

「最近はあまり優勝、優勝という風に意識していません。というか、勝てると思っているので」

「今回も予選があのような結果じゃなかったら、勝てる力はあったと思うし、全く心配していません。今年はチャンピオンを獲るとずっと言っているので、しっかりやっていきたいです」

 チームの現在のパッケージにかなりの自信を持っている様子の太田。ダンディライアンは昨年序盤はニューマシンSF23への合わせ込みに苦労して低迷したが、富士でのインシーズンテストを機に復調し、今に至る。セットアップに関しても、現状迷う部分は一切ないと言い切って見せた。

「今、TEAM MUGENはふたりのドライバーがこうなって(成績が上下して)いますが、僕たちふたりはよりスムーズなデータの蓄積ができているので、セットアップの裏付けをしっかりとりながら次戦に向かうことができています」

「そこに関して自信はあります。悩むところは一切ないんです。ここをこうしたら良いというのが見えているので」

「今回はヨーイドンして(スタートを終えて)6番手でしたが、そこから表彰台に上がるのはスーパーフォーミュラだとなかなか厳しい。スタートと予選をしっかり決めきれば、そこから先は全く心配していません。大丈夫だと思います」

 また優勝した牧野も、チームは相乗効果によって2台揃って高いパフォーマンスを発揮できていると語った。

 開幕戦では10位と苦しんだ中で、オートポリスに向けては課題を解決できたということなのかと尋ねると、牧野はこう答えた。

「鈴鹿では6号車(太田号)の調子が良く、スタートで失敗しながらあそこまで追い上げていたので、そこも参考にさせてもらいました」

「昨年の富士テスト以降、2台でお互い切磋琢磨して、チーム全体のレベルがかなり上がっているというのを感じています。今回も2台とも上手く進められたと思うし、6号車の方は昨日の予選でちょっとうまくいかなかったんですけど、ポテンシャル的にはかなりあったと思います」

「またチームと格之進と一緒に、お互い協力して良いクルマを作り、ふたりで優勝争いできるように頑張りたいです」

 直近数シーズンのスーパーフォーミュラは、TEAM MUGENが2台揃って高いパフォーマンスを見せ、チームタイトルを手中に収めてきた。野尻智紀と岩佐歩夢という強力コンビを擁するTEAM MUGENは今年もタイトル最右翼と言えるが、彼らにとって最大の脅威は、このDOCOMO TEAM DANDELION RACINGになっていきそうな予感だ。