クルマのメーターにはさまざまな警告灯や表示灯が並んでいます。そのなかには「青いイカ」のような表示灯があるのですが、これはどのようなものなのでしょうか。

「青いイカ」みたいな表示灯は「ハイビーム表示灯」

 クルマを運転しているとき、メーターパネルにさまざまな警告灯や表示灯が点灯し、クルマの不具合や異常、誤操作などクルマの状態をドライバーに教えてくれます。
 
 そのなかに、夜になると点灯することがある「青いイカ」のような表示灯があります。普通に走行していても点灯することがあり、急にどこか故障したのではないかとヒヤヒヤしたことがある人もいるかもしれません。
 
 これは一体どのようなものなのでしょうか。

 青いイカの正体は、ヘッドライトが「ハイビーム」になっている状態を示す「ハイビーム表示灯」で、ヘッドライトから光が照射されていることを示したマークになっています。

 最近のクルマは「オートヘッドライト」が義務化されたことに加えて、自動でロービームとハイビームを切り替える「オートハイビーム機能」も搭載されることが増えたため、スイッチを操作せずともハイビーム表示灯が点いたり消えたりすることがあるのです。

 道路交通法第52条第1項(車両等の灯火)では「夜間での走行は、ハイビーム(前照灯)が基本」と明記されており、「普段の走行で使用しているロービーム(すれ違い灯)はあくまで対向車が多い場合にのみ使用する」と解釈されます。

 薄暗くなってきたことを感知して自動でヘッドライトが点灯するオートヘッドライトはともかく、オートハイビーム機能の評判は芳しくなく、使いたくない人が多いといいます。なぜ評判が悪いのか、現役整備士のT氏に聞いてみました。

「このオートハイビームの評判が悪いのは、完全ではないというのが大きな原因でしょう。ハイビームからロービームに切り替わるタイミングが遅れ気味なのが問題のようです」

「オートハイビームの作動は、主に運転支援システムなどで使用するために搭載されたカメラで対向車などを認識する必要があり、少しの間はハイビームで対向車を照らしてしまいます。

 最近のヘッドライトはLED化され、ハロゲンよりも明るいので、ハイビームがさらに眩しく感じる要因にもなっています。

 本来は、遠くまでライトで照らして安全のために使用するハイビームですが、対向車や前走車を幻惑させるという点では安全とは言えず、皆さん使いたがらないということなのです」

 ちなみに、オートハイビーム機能のキャンセル方法は取扱説明書に記載されています。機能をオフにしたい人は、取扱説明書を確認しましょう。なお、機能をオフにしても、手動でハイビームにすることはできます。

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 運転免許を取得したての初心者や、普段あまり運転する機会がなく、レンタカーやカーシェアなどで久しぶりに運転した人のなかには、青いイカのような表示灯が点灯したときにヘッドライトがハイビームになっているということを理解していない人もいるかもしれません。

 ハイビーム表示灯が点灯していたら、対向車や前走車がまぶしくないように、ロービームに切り替えるということを覚えておくと良いでしょう。

警告灯にはどのようなものがある?

 メーター内に表示される警告灯にはさまざまなものがあります。そのなかからいくつか紹介します。

 丸の中に「!」マークが表示される警告灯は、主にパーキングブレーキをかけているときに点灯します。

 ただしパーキングブレーキを解除したのに点灯している場合は、ブレーキ周りに何かしらのトラブルが発生している警告状態。命に関わる部分だけに、早めにディーラーや整備工場に持ち込み修理を依頼すべきです。

 次に四角い箱型に突起物と「+」「−」がついたものは、バッテリーの異常を知らせる警告灯です。

 主にバッテリーが弱くなっているか、オルタネーター(発電機)がうまく作動せず充電できていない証拠です。この場合は外部から充電するか、バッテリー交換が必要になります。

 次は、波の上に浮かぶブイのようなマークは、冷却水の温度を検知する水温計の異常を知らせる警告灯です。

 青色や緑色の場合は水温が下がりすぎている状態ですので、走り続けて暖まればそのうち消えます。

 問題なのは赤色の場合。これは水温計が高温を検知したオーバーヒート状態を示しており、頻発する場合はエンジンがうまく冷却できていない、または冷却水不足でも点灯するので、冷却水をチェックすることをお勧めします。

 また同様に、魔法のランプのようなマークは「油圧警告灯」です。これはエンジンオイルが何かしらの理由で高温になっているか、残量が足りなくなっているかという状態。

エンジンオイルの油圧が低下すると、冷却水同様にエンジンを冷やせなくなるので、こちらもオーバーヒートする前に対処すべきです。

 これ以上に深刻なのが、まるで変形したボックスのような「エンジン警告灯」でしょう。これは電子制御しているエンジンに何かしらの異常を検知した証拠です。

 点灯したらすぐに安全な場所に停車して、ディーラーなどに助けを求めたほうが良いでしょう。

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 警告灯はその名の通り、クルマの不具合や状態を表すサインです。

 すべてを把握するのは難しいでしょうが、見慣れない警告灯が点灯したときには、放置せずに対処することが大切です。