一般道路におけるクルマの法定速度は時速60kmという印象があります。実は最高速度が時速80kmの一般道路が存在します。

一般道路って制限速度60kmじゃないの? 最高速度が引き上げられる条件は?

 基本的に一般道路におけるクルマの法定速度は時速60kmと決められていますが、実は最高速度が時速80kmの一般道路が存在します。
 
 では、時速80km制限の一般道路とは一体どのような道路なのでしょうか。

 クルマを運転する際には、当然ながら決められた速度を守って運転しなければいけません。

 一般道路の場合、クルマの法定速度は緊急自動車の特例を除いて、時速60kmと決められています。

 そのため、ドライバーの中には「一般道路で出せる最高速度=時速60km」と認識している人も少なくありません。

 しかし、クルマの最高速度に関しては道路交通法第22条第1項で以下のように規定されています。

「車両は、道路標識等によりその最高速度が指定されている道路においてはその最高速度を、その他の道路においては政令で定める最高速度をこえる速度で進行してはならない。」

 つまり道路標識などで最高速度が表示されている場所ではその速度を超えないように、また道路標識などがない道路では法定速度を守って運転するというルールがあります。

 そのため、道路標識で時速60kmを超える速度が示されていれば、実は一般道路であっても時速60km以上のスピードを出して走ることが可能なのです。

 そして国内には最高速度が時速80kmに指定されている一般道路が存在しますが、時速80km制限の一般道路とはどのようなものなのでしょうか。

 この珍しい一般道路として、栃木県にある国道119号バイパス「宇都宮北道路」と国道408号バイパス「鬼怒テクノ通り」の一部が挙げられます。

 まず宇都宮北道路は、宇都宮の市街地をぐるっと1周する宇都宮環状道路と東北自動車道・宇都宮ICをつなぐ国道であり、2003年開通、2005年に日本の一般道路で初めて最高速度が時速80kmまで引き上げられた道路でもあります。

 開通した当初は時速60km制限でしたが、道路の大部分が高架であることや信号がないことがプラスに働いたのか交通事故がほとんど発生せず、最高速度を時速80kmにしても安全性が確保できるとして国や県などが協議をおこなった結果、速度が引き上げられることになりました。

 もうひとつの「鬼怒テクノ通り」については栃木県内の宇都宮市から真岡市に至る国道ですが、一部区間が時速80km制限となっています。

 こちらの道路も開通当初は時速60km規制でしたが、前述の宇都宮北道路の前例もあり、2012年に最高速度が引き上げられました。

実はまだある!? 最高速度が時速60km超の場所は? そもそも近年「最高速度」が引き上げられる理由は?

 実を言えば、これらの道路のように一般道路の最高速度が引き上げられる事例は他にもあり、たとえば2012年には岩手県の国道283号仙人峠道路において最高速度を時速60kmから時速70kmへ引き上げられました。

 さらに、2017年にも千葉県の国道464号「北千葉道路」の一部区間で同様の最高速度引き上げがおこなわれています。

 一般道路の最高速度が引き上げられるようになったのは、警察庁が2009年から道路における新しい速度規制の基準を策定したことが影響しています。

 警察庁の資料「速度規制の目的と現状」によると、一般道路のうち、道路構造の水準が高く、事故などの危険が少ない走行性の高い道路については原則規制速度を時速70kmまたは時速80kmにすることと記載されています。

 具体的には設計速度(ドライバーが安全・快適に走行できる速度)が時速60km以上であること、歩行者や軽車両、原動機付自転車の通行止めがされていること、道路の上下線が中央分離帯などで分離しているといった複数の要件を満たす道路については、走行中の危険因子が少ないとして最高速度が引き上げられるケースがあるのです。

 なお前述の宇都宮北道路と鬼怒テクノ通りでは、歩行者はもちろん排気量125cc以下の自動二輪車や原動機付自転車、自転車などの通行が禁止されています。

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 栃木県には全国でも珍しい制限速度が時速80kmの一般道路があります。

 特に宇都宮北道路に関しては、警察庁によって規制速度が見直されるようになった2009年以前に最高速度の引き上げがおこなわれており、まさにパイオニア的な道路といえるでしょう。