過去数十年にわたる時間管理の科学は、通知やメールに常に気を取られるという現代のジレンマに対して巧みな解決策を提示しています。それが「タイムブロッキング」です。
それは、毎日を短い時間のかたまりに分け、生産的に仕事をするために確保するというもの。
しかし、タイムブロッキングの従来のやり方ではまだ十分ではありません。
本当はどれだけクリエイティブになれるかという可能性を垣間見ることはできますが、それを完全に体験するというところまではいかないのです。
本気で仕事に没頭する日、それが「メガ・デー」
タイムブロッキングの投資対効果(ROI)をもとめる簡単な公式があります。
確保する時間が長ければ長いほど、生産性が向上する
15分割り当てれば、わずかではあるものの有意義な効果が得られるでしょう。
様々なタイムブロッキングの方法論が提示しているように、1時間か2時間割り当てれば得られる効果がさらに大きくなります。しかし、朝9時から夕方5時までという枠を超えて丸一日を確保すれば、「生産的な悟り」と言えるようなものを体験できるのではないでしょうか。
これが「メガ・デー」です。
これは、数カ月前に極度に時間が不足した時期があって生まれた戦略です。このころ、筆者は新しい本を書きはじめると同時に、会社で働きながら毎週、コラムを書いていました。
このような働き方は、うまくいきませんでした。十分な時間がなかっただけでなく、野心的に考えたり、これらのプロジェクトに最大限の注意を払う余裕もなかったのです。
そこで、自分の中で次のことを取り決めました。「毎週1日、自分にできる最大最高の仕事を誰にも邪魔されずにするために、丸一日を確保する」というものです。
こうした日は、朝7時から夜7時まで、電話にも出ず、メールも返さず、受信トレイを開きもしませんでした。最優先のクリエイティブかつ生産的な仕事に没頭する許可を自分に与えたのです。
その結果は驚くべきものでした。毎週このすばらしい1日には、可能な限り深い形で一連のアイデアを練ることができるようになったのです。
そしてわかったのは、「メガ・デー」のたびに、その日1日分の仕事をこなすだけではなく、この12時間というひとまとまりの長時間で、ほぼ1週間分の仕事を終わらせることができた、ということです。
「メガ・デー」を最大限に活用する方法は次のとおりです。
1. 「メガ・デー」をあらかじめ確保する
短い電話やちょっとしたメールチェック、短い会議でさえも、連続的で気を散らさない「メガ・デー」の流れを邪魔してしまいます。ですから、こうした日はかなり前から確保しておくことが不可欠。
筆者は、少なくとも1〜2カ月前から「メガ・デー」をカレンダーに書き込むようにしています。
この時間は、一度予定したら命がけで守らなければなりません。
知り合いの誰もがこの時間の一部を奪い取ろうとし、そのために説得力のある理由を挙げてくるでしょう。ここでしなければならないのは、この神聖な日をなんとしても死守することです。
2. 自分に「オフグリッド」状態になる許可を与える
次に、自分を律する必要があります。
メールをチェックしたり、メッセージに返信したり、SNSをちょこっと見たり、といった衝動を抑えましょう。
メールには不在時の自動返信を設定し、自分に根本的な革新性と生産性というプレゼントをもたらすことができるよう、「気を散らすことに向かう衝動に抗う」と心に決めるのです。
3. 家族や同僚の助けを借りる
他人の生活に影響を与えずに「オフグリッド」状態になることができる人は、ほとんどいません。
筆者の場合、「メガ・デー」には妻の助けが必要です。「メガ・デー」のたびに、妻に子どもの送り迎えや生活全般の面倒をお願いしています。その代わりに、ほかの日は筆者がその分たくさん担当するのです。
「メガ・デー」を成功させるには、周囲にサポートを求めることが非常に重要。そうすることで、毎週1日、自分の最高の仕事を世に送り出すという、この崇高なプロジェクトをサポートしてくれるコミュニティが成り立つのです。
どんな時間管理や生産性向上の戦略でもあることですが、毎週、2週間に1回、あるいは1カ月に1回でも「メガ・デー」のスペースを確保するのは大変なことだと思うかもしれません。
「忙しすぎて『メガ・デー』をするためのやりくりを考える暇もない」と思っている人もいるでしょう。
しかし、やってみればその効果が絶大だということがわかります。
「メガ・デー」では、あたかも時間が拡大したかのように感じることでしょう。普段の日には決して思いつかないような大きなアイデアが思いつきます。1日で普段の1週間よりもたくさんの仕事が終わります。
そして、洞察力と大局的なビジョンが明瞭になるため、もはや付加価値も意味もなくなったプロジェクトに何週間、何カ月にも相当する時間を無駄にすることもなくなるのです。
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