特殊すぎる詐欺に爆笑

 特殊詐欺注意のチラシを見かけて、祖母のことが心配になる孫のちよ子。電話をかけてみると、10分前にちよ子を名乗る人物から「フルーチェが食べたい」という趣旨の電話がきたばかりだといわれます。

 祖母は、たくさんフルーチェを用意するために銀行でお金を下ろそうとしているようです。明らかに怪しい電話の内容に、オレオレ詐欺ではないかと心配になります。急いで家へ向かうと、そこには見た目が“アレ”な男性がいて……。

 並庭マチコさん(@manga_m)が「フルーチェ詐欺に気をつけろ」として掲載した『スイーツ・ヤクザの甘杉さん』(ぶんか社グルメコミックス)が話題です。いいね数は1.2万を超えており、読者からは「何もかもが特殊すぎる」「振り込め詐欺じゃなくて振り込む詐欺」「何という恐ろしい手口なのだ…心に疲れたサラリーマンという部分がこの手口のミソやで!」などの声があがっています。

 並庭マチコさんは漫画家として活動しており、今作以外にもエッセイコミック『プリンセスお母さん』全4巻(KADOKAWA)が発売中です。

 作者の並庭マチコさんにお話を聞きました。

ーー今作『フルーチェ詐欺に気をつけろ』が生まれたきっかけや、理由を教えてください。

 オレオレ詐欺は子供や孫のふりをするのが定番ですが、私は大人になっても実家に甘えたい気持ちが全然あるタイプなので、シンプルに子供や孫のふりをして甘えるだけの詐欺があったら面白いかもと思ったのがきっかけです。

 それと、このマンガが載っている「ごはん日和」の本号のグルメテーマが『ぷるぷるゼリー』だったので組みあわせました。

 私も子供時代に、みかん入りの牛乳寒天だったり、忙しい合間にできるカンタンなデザートだったりを母が作ってくれましたが、大人になると食べる機会がなくて、ふと思い返すと懐かしくて食べたくなります……!

ーーオレオレ詐欺にだまされたと思ったらまさかの展開でしたね。今作を描くうえでこだわったポイントや伝えたかった想い、お気に入りのシーンなどはありますか?

 ギャグマンガなので詐欺をネタにしても笑えるような展開と、一応ヤクザ設定なので悪いシノギではあるという部分はこだわりました! NO特殊詐欺!

 甘杉がホワイトボードで説明している「シノギのしくみ」はプロットを作る際に実際に自分が描いた図を元にしているのですが、ばかばかしすぎて気に入っています(笑)。

スイーツ好きのヤクザによるハイテンションギャグマンガ『スイーツ・ヤクザの甘杉さん』著:並庭マチコ(ぶんか社グルメコミックス)

ーー多くのコメントが寄せられております。特に考えさせられた読者の意見やうれしかった声などがありましたら教えてください。

 1ページ目の防犯ポスターの祖母のセリフが予想外に人気でした(笑)。世の祖母には、お金をカンタンにせびる相手にはあれくらい強気でいってほしいですね!

 面白かったという感想をたくさんいただけたのが普通に一番うれしかったです! リプライでフルーチェのいろいろな食べ方も共有してもらえたので試したいです。

ーーSNSでの作品掲載のほかにも、書籍『スイーツ・ヤクザの甘杉さん』(ぶんか社グルメコミックス)が2023年12月8日に発売されています。あらすじや見どころを教えてください。

 ヤクザという設定ですが、すべての話がくだらなすぎて笑えるよう心がけているので、ぜひ安心して楽しんでいただけたら幸いです!! 身近な料理や食品をテーマにしているので共感してもらいやすいと思います。あと静岡グルメも出てくるのでそちらが地元の人はいろいろピンとくるかも……!

ーー2024年はどのような創作活動をする1年にしたいですか?

 今年も、くだらなすぎて笑ってもらえるようなマンガをたくさん作りたいです。そして、自分自身が楽しいと思えるような作品をめざして頑張ります!