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アスファルトプラントなどの土木プラントメーカーである日工<6306>がM&Aを積極化させている。

同社はリフォーム事業や不動産賃貸業などを手がける子会社の日工興産(兵庫県明石市)を介して、戸建て住宅の建築販売に取り組む西日本不動産(兵庫県川西市)を子会社化した。

2031年3月期に売上高600億円を目指す2030年ビジョンの達成に向けて実施している成長投資の一環で、すでに油圧配管工事やプラント工事などを手がける宇部興機(山口県宇部市)と、プラント向け製缶加工や組み立てなどを行う松田機工(岡山県笠岡市)を子会社化しており、今回はこれに次ぐ3社目となる。

2030年ビジョンの達成に向けて体制や制度などを構築する期間と位置付けている2025年3月期を最終年とする3カ年の中期経営計画では、初年度の目標を達成できず、2年目も未達で終わる見込みだ。

非連続な成長によって出遅れ分を取り戻すことのできるM&Aに今後、拍車がかかることになりそうだ。

兵庫県内全域に不動産事業を拡大

西日本不動産は兵庫県東部で約20年間、戸建て住宅の建築販売を行っており、兵庫県川西市を中心に500棟以上の戸建て住宅の販売実績を持つ。

日工興産は兵庫県明石市内を中心にリフォームや賃貸の事業を展開しており、今年、戸建て住宅の建築販売事業に参入したばかり。

日工興産の不動産事業をさらに拡大するため、西日本不動産の子会社化に踏み切ったもので、今後は両社を統合し戸建て住宅事業やリフォーム事業を兵庫県内全域に拡大していく。

日工はアスファルトプラントのほかバッチャープラント(コンクリートの製造施設)や汚染土壌浄化設備、コンベヤーなどを製造している。

これまでM&Aの実績は少なく、同社が公表している沿革によると今回の3社のほかには2008年に実施した破砕機メーカーの前川工業所の子会社化だけしかない。

日工の沿革と主なM&A

売上高600億円、営業利益60億円を目指す

現中期経営計画は、2026年3月期以降の「ビジネス拡大フェーズ」に向けて、将来の収益を創出する分野への投資を優先させており、設備投資や研究開発投資と並んでM&Aを活発化させている。

その現中期経営計画の初年度である2023年3月期は、売上高396億6500万円(前年度比2.1%増)、営業利益10億2800万円 (同49.9%減)にとどまり、当初計画していた売上高420億円、 営業利益23億円には届かなかった。

2年目の2024年3月期も売上高440億円(同10.9%増)、営業利益19億円(同84.8%増)の見込みで、目標の売上高480億円、営業利益28億円には達しない見込み。

2030年ビジョンでは、2026年3月期以降に、国内で新サービスやシステムを投入し、海外では新たな収益基盤を確立するほか、生産体制を再構築するなどの施策を講じ、2031年3月期に売上高600億円、営業利益60億円を目指す計画だ。

これら目標数字は現中期経営計画初年度の2023年3月期と比べると1.5倍の増収、5.8倍の営業増益となる。M&Aの出番は多そうだ。

日工の業績推移
2024/3は予想、2025/3、2031/3は計画

文:M&A Online