1960年代末から日本でもスーパーカーが計画され、あるものは試作段階で消え、あるものは実際に販売までこぎつけた。2023年 ゴールデンウイークの特別連載企画として、そんな時代の最先端を目指した日本の志高い、幻のスーパーカーを紹介しよう。第2回は、マツダ RX500だ。

マツダ RX500(MAZDA RX500:1970)

東洋工業(現・マツダ)が1960年に西ドイツ(当時)のNSU社とライセンス契約を交わして開発を始めたヴァンケルエンジン。ピストン運動を回転運動に変換するのではなく、電気モーターのようにそのまま内部のローターが回転する内燃機関は、夢のエンジンとまでいわれていた。

だが実は、当時はまだまだ開発途上のシロモノだった。その後、東洋工業が苦心惨憺の末に、独自のロータリーエンジンとして完成させ、1967年にコスモスポーツに搭載して発売したという話は、あまりにも有名だ。コスモスポーツ自体も、その未来的なデザインと、図抜けた動力性能によって話題となったが、さらに進んだ形として1970年の第17回 東京モーターショーに出展したのが、このマツダ RX500だ。

当時のスーパーカーの常道である鋼管スペースフレームによって組み上げられたシャシに、FRPとABS・PC アロイ製のボディで構成されていた。フロントヒンジで大きく開くシザーズ式ドアも、当時は大変なインパクトを与えた。

エンジンはコスモスポーツに搭載されていた10A型ロータリーで、それをリアミッドに搭載している。エンジンルームのリッドがガルウイング状に開くというのもインパクトが強い特徴だった。動力性能に優れたロータリーエンジンにより最高速は200km/h以上とアナウンスされていた。

マツダとしては、このRX500をコスモスポーツの後継という位置づけで市販を目指していたが、前回に紹介したいすゞ ベレット MX1600同様、排出ガス規制などによるスポーツカー受難の時代では、市販されることはなかった。

●全長×全幅×全高:4330×1720×1065mm
●ホイールベース:2450mm
●エンジン型式:10A型
●種類:ロータリー
●総排気量:491cc×2
●最高出力:250ps/7000rpm
●最大トルク:23.5kgm/6000rpm
●トランスミッション:4速MT

[スーパーカークロニクル - Webモーターマガジン]