伊那市美篶の美篶小学校4、5、6年生約150人は11日、地元の美篶地区各種団体協議会と一緒に三峰川堤防にあるソメイヨシノの観察を行った。一帯の桜並木は30年ほど前に当時の同校児童らによる呼び掛けがきっかけとなって復活。現在も後輩による見守り活動が続いていて、子どもたちは大人と共に幹や枝の広がりを計測した。

 三峰川堤防の桜は昭和の時代に始まった三峰川の総合開発の一環で撤去されたが、1994年に当時の美篶小児童たちが桜並木の復活を目指して活動を開始。徐々に植樹を重ねて現在は堤防に沿って56本が植わっている。

 同校は桜並木に親しむ地域学習として木の成長を観察する活動を継続。地元の区や福祉、消防の諸団体でつくる美篶地区各種団体協議会は地域全体で桜を守り育てる意識醸成のため、同校と連携して観察活動を毎年実施している。

 児童たちは三峰川レストパークや青島霞堤防のある一帯に分散。班ごとに担当の木があり、メジャーを使って幹の太さや枝の広がり具合を測った。大人たちも子どもたちに寄り添って見守った。

 児童の一人(12)は「幹が広がって大きくなっていた。これからも大きくなってほしい」と感想。また「この木を育てるつもりで頑張ってほしい」と後輩に期待していた。

 同協議会の小林安博会長(67)=美篶区長会会長=は、児童らの尽力で復活した桜並木のある風景について「次の後輩につなげてほしい。人を呼んで桜を見てもらう取り組みをしているので、見守りが伝統として続くことはうれしい」と話していた。