【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】

◆血統で振り返る桜花賞

【Pick Up】ステレンボッシュ:1着

 2代母ランズエッジは、競走馬としては未勝利に終わったものの、ディープインパクトの4分の3妹という良血がモノをいい、繁殖牝馬として成功しました。といっても、重賞を勝った産駒はなく、青葉賞2着ヴァルコス、クイーンC3着ロカが出世頭です。

 爆発したのは孫世代になってから。前述のロカはレガレイラ(ホープフルS)とドゥラドーレス(毎日杯3着)の母となり、エッジースタイルはアーバンシック(京成杯2着)を、ブルークランズはステレンボッシュ(桜花賞)を産みました。レガレイラは今週の皐月賞で76年ぶりの牝馬制覇を目指します。ランズエッジの孫世代は産駒が出始めの段階なので、これからまだまだ活躍馬が出てくるはずです。

 ランズエッジの母ウインドインハーヘアは、いうまでもなくディープインパクトの母。それだけでなくブラックタイドを産み、キタサンブラック→イクイノックスとサイアーラインをつなげました。また、来日前に産んだレディブロンドは、そのファミリーからダービー馬レイデオロを誕生させています。ここ十数年の日本競馬はウインドインハーヘアを抜きには語れません。その偉大さをあらためて実感します。

 ステレンボッシュの父エピファネイアは、エフフォーリアの有馬記念(2021年12月)以来、久々のGI制覇となりました。桜花賞は2020年のデアリングタクト以来二度目の制覇です。現3歳のエピファネイア産駒は、エフフォーリアが皐月賞を勝った前後の種付けだったので、優れた繁殖牝馬が多数集まり、その結果としてハイレベルな世代となっています。これで世代4頭目の重賞勝ち馬となりました。

「エピファネイア×ルーラーシップ」の組み合わせは、出走した5頭がすべて勝ち上がり、相性の良さがうかがえます。母の父ルーラーシップは東京芝2400mに強い血。オークスは向いているでしょう。

◆血統で振り返るニュージーランドT

【Pick Up】エコロブルーム:1着

 1着エコロブルーム、2着ボンドガールと、ダイワメジャー産駒のワンツーフィニッシュ。ダイワメジャー産駒はこれまでにJRAの芝重賞を47勝していますが、半数以上の28勝がマイル戦。そして、そのうちの20勝を2歳から3歳春にかけて挙げています。

 ニュージーランドTは、ダイワメジャーが得意とする条件にあてはまり、[2-3-1-12]という通算成績です。2012年のカレンブラックヒル以来の勝利となりました。

 エコロブルームの母シュガーショックは名繁殖牝馬で、ほかにきさらぎ賞を勝ったラーゴム、オープンクラスまで出世したスパイダーゴールドなど、出走した産駒5頭がすべて勝ち上がっています。後者は本馬の全兄です。

 母の父キャンディライドは、アメリカ有数の若手種牡馬ガンランナーの父。先週の「知っておきたい! 血統表でよく見る名馬」で取り上げたばかりですので、ご覧いただけましたら幸いです。



【関連記事】