産機の脱炭素化後押し

スイスのABBは省エネ効果の高いインバーター一体型の高効率モーター「EC タイタニウム」の国内販売を本格化する。このほど、産業機械専門商社の南出キカイ(大阪市西区)を通じて産業装置メーカー4社への採用が決定。各社のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)に対応する新製品開発を後押しする。加えて、省エネ性能確認などの製品開発支援にも取り組むことで、2025年に1000台、30年に5000台の販売を目指す。

EC タイタニウムはABBの米アーカンソー州の工場で21年に開発したもので、出力0・75キロ―11キロワットのタイプをそろえる。高いエネルギー効率を発揮する同期リラクタンス技術と永久磁石技術を組み合わせたローター構造により、国際電気標準会議(IEC)規定の効率規格の最高レベルである「IE5」以上をクリアする。

インバーター一体型が特徴で、インバーター制御に慣れていない国内ユーザーと連携して長期間の稼働試験支援などに積極的に取り組んでいる。

今回同モーターを採用したのは、アンレット(愛知県蟹江町)、セイコー化工機(兵庫県明石市)、阪和化工機(大阪市東淀川区)、古河産機システムズ(東京都千代田区)で、いずれも同モーター搭載の新製品開発を進めている。それぞれ稼働試験を経てIE5搭載のポンプやファン、攪拌機などの早期製品化を目指す。

ABBはIE5対応モーターでは永久磁石不使用のタイプも従来から販売している。

日本の産業機器業界はコスト低減要請が最も高かったが、「エネルギー価格の高騰とカーボンニュートラル対応製品開発が必須となる中で、省エネ効果の高い高付加価値製品が求められるタイミング」(ABBモーション事業本部)とし、IE5レベルの普及を急ぐ。