ボッチャで21年東京パラリンピック個人金、団体銅メダルの杉村英孝(42)が19日、都内でTOKIOインカラミとの所属契約締結会見に臨んだ。

1日付でサポートを受けることとなり「心強いです。3年を懸けて準備してきた。東京大会は予選がなかったけれど、予選を経て、勝ち抜いたのは、チームとしても自信になる。今、取り組んでいることは投球フォームの安定。パリへ照準を合わせ、完成形に持っていきたいです」と誓った。

静岡県出身の杉村は先天性の脳性まひで、車いすで過ごす。19歳の時に出合ったボッチャの魅力は「コートに立ったら、誰の手にも助けをもらうことができない。全て自分の選択と決定で競技を行う。いつでも、どこでも、誰でもできるのも最大の魅力。年齢、性別、障がいの有無、国籍を超えて、同じステージで楽しめることはなかなかない」。今後も伊豆介護センターでの勤務は続けるが、新たな所属先からのサポートで、より競技に打ち込める環境が整う見込みだ。

「TOKIOインカラミ」を展開するイフイング(本社=東京都中央区)はヘア化粧品などを手がけており、スポーツ界ではスノーボード男子の平野歩夢、スピードスケート女子の高木美帆、フィギュアスケート女子の渡辺倫果らが所属している。冬廣應尚社長は「海外で仕事をしていて、パラスポーツと(健常者のスポーツの)境界がなくなってきていると感じている。ボッチャは戦略的な部分もかなりあり、奥が深く、みんなで楽しめるスポーツ」と笑顔を見せ、杉村との契約のタイミングで日本ボッチャ協会のゴールドパートナーも担うこととなった。

パリ・パラリンピックは8月28日に開幕。杉村は手厚いサポートを受けながら、ボッチャの魅力を世界中に伝えていく。【松本航】