<東京6大学野球:慶大3−2立大>◇第3週最終日◇5日◇神宮

プロ通算525本塁打を誇る清原和博氏(56)の長男、慶大の清原正吾内野手(4年=慶応)が、一時、逆転の左越え2点適時二塁打を放ち、勝利に貢献した。

1点ビハインドで迎えた3回裏1死満塁。「甘い球がきたら打ってやろうと気持ちだった」と、初球の甘く入ったスライダーをバットの先っぽだったが、力強く振り抜くと、打球はレフト頭上を越え左越え2点適時二塁打に。清原は、二塁上でスタンドへ向かい人さし指を掲げ、続いてネット裏で観戦する父・和博氏に人さし指を向けた。「ベンチ外で応援してくれる選手へ“ありがとう”という気持ちと、父親に“やってやったぞ、見たか!”っていうところでした」。堂々と、胸を張った。

試合はその後、同点に追い付かれるも、8回裏、2死一、二塁から常松広太郎外野手(3年=慶応湘南藤沢)がレフト線を破る勝ち越しの適時二塁打を放ち、4回戦までもつれた激戦に終止符を打った。

父という最高のお手本が、清原を成長させた。今季は指1本短くバットを持ちコンパクトなスイングで結果を残している。開幕前、右手を負傷した影響もあるが、一番は父の現役時代のバッティングフォームだ。「父親もあんなにホームランを打っていますが、バットを短く持っていたこともある。そこは勉強になっています」。現役時代の動画を繰り返し見て、自分の武器に変えた。

今は野球が楽しい。「監督が『勝ち負けは俺のせいだ』とおっしゃってくれるので。勝敗は監督にお任せして(笑い)。僕は楽しみながら打席に入っています」。チャンスの場面も「4番としてのプレッシャーを楽しむマインドはできています」と、勝負心がくすぐられる。

慶大はここまでの9試合、何度か打順を入れ替えて臨むも“4番清原”だけは固定。堀井哲也監督(62)は「一番コンスタントに打っている。清原の4番は外せないという流れ」と大きな信頼を寄せる。ここまで10安打6打点で2割7分。チームイチの打率で、指揮官の期待に応えている。1試合ごとに成長するその姿は、接戦を勝ちきり、大物の風格を増してきた。【保坂淑子】