肩が凝っているときに、家族に肩をもんでもらったり、たたいたりしてもらったことはないでしょうか。肩をもんだりたたいたりしてもらうと、気持ちよくなりますが、ネット上では「肩こりのときに、肩をもんだりたたいたりしてはいけない」という内容の情報があります。

 肩こりのときに肩をもんだりたたいたりするのは、本当によくないのでしょうか。姿勢調整師の塗木洋平(ぬるき・ようへい)さんに聞きました。

筋肉が硬くなる原因に

Q.肩こりのときに肩をもんだりたたいたりするのは、本当によくないのでしょうか。理由も含めて、教えてください。

塗木さん「肩こりのときに、肩をもんだりたたいたりするのはよくありません。筋肉をたたくと伸張作用で一時的に緩むため、肩が軽くなったように感じます。

しかし、伸びた筋肉は戻ろうとします。その際により硬くなり、ちょっとした刺激で伸張作用が起こらないよう、防御反応が起こります。最初は弱い力でも十分に気持ちよく感じていたのに、肩をもんだりたたいたりしてもらうのを繰り返すうちに、次第に強い力でなければ気持ちよく感じなくなるのはそのためです。

強い力で肩をたたくと、筋肉が内出血を起こし、体の表面に青あざなどができるので注意してください」

Q.肩こりのときの対処法について、教えてください。マッサージ店やマッサージ器具を利用しても問題ないのでしょうか。それとも、すぐに整形外科などを受診すべきなのでしょうか。

塗木さん「肩こりは、病的な要因で発生するケースもあります。まずは整形外科を受診し、骨折や靱帯(じんたい)断裂、筋障害など病的な要因がないかを調べてもらうことが大切です。

病的な要因ではない、単なる肩こりは生活習慣が要因となって生じるケースが多いです。例えば、猫背のほか、首の骨が真っすぐな状態になる『ストレートネック』などが肩こりの要因です。姿勢に問題がないか、姿勢の専門院で調べてもらうとよいでしょう。まずは肩こりの原因を突き止めて、適切な対処をしましょう」

Q.肩こりのときに「もむ」「たたく」以外にやってはいけないことはありますか。

塗木さん「『小さい子どもに肩を踏んでもらう』『マッサージ器を長時間使う』『就寝時に頭に枕を当てる』『うつぶせで寝る』などです。枕は頭ではなく、首に当てましょう」