一人でいると孤独を感じてしまう...。ネガティブな気持ちに苛まれた時にどうしたらいいのか分からない...。どうしようもなくつらい気持ちになった時、どのように対処したらいいのか? 作家のジョン・キム氏が語る。

※本稿は、ジョン・キム著『媚びない人生』(PHP文庫)より、内容を一部抜粋・編集したものです。


孤独とは、自分と向き合う時間

かつて講演会で、「孤独を克服するにはどうすればいいか」という質問を受けたことがある。私には、とても違和感のある質問だった。なぜなら、孤独は極めて大事なことだからである。

孤独は決して、克服すべき対象などではない。

むしろ孤独こそ自分の中で一番自然な状態で、自分の人生をしっかり感じられるもの。孤独に一人で、自分と向き合うことは、一番大事にすべき時間なのである。

しかし一方で、自分が好きになれなければ、孤独は楽しめないともいえる。他者といたとき、一人でいるときよりも楽しめるのであれば、会う価値がある。しかし、もしそうでないなら、会う価値はない。

一人でいる時間が楽しければ、それでまったくかまわない。どうして日本では孤独がこれほどネガティブに捉えられるのか不思議なことだが、孤独をもっと大事にするべきだ。

とりわけ若い時代には、自分に真剣に向き合える唯一の時間なのである。孤独な時間、自分と向き合う時間こそ、絶対に確保するべき時間なのだ。

自分の経験でもそうだが、自分に対する自信がないときの孤独は、たしかに怖いものでもある。だが、それを恐れて群れの中にいれば、自分はどんどん弱くなっていくことを自覚する必要がある。

自分を信頼し、孤独を楽しもうとする姿勢も、必要なのである。


ネガティブな感情に居場所を与える

自分を苦しめるものに、ネガティブな感情がある。ネガティブな感情は不安を呼び起こし、不快な気持ちにさせて自分をいじめる。これは私自身もそうだった。

しかし、私はあるときから、ネガティブな感情への対処法に気がつくことになった。

ネガティブな感情の特徴は、それを自分が認識して、「嫌だな」「困ったな」と感じ、除去しようとしたり、見て見ぬふりをしようとしたりするときにこそ、強い力を発揮するということである。

そういう態度でネガティブな感情に接していると、ネガティブな感情は潜在意識に潜り込んでいく。それがいつまでもじわじわと自分を苦しめていくことになるのだ。長ければ、10年、20年と潜在意識の中に居座り続けることになる。

では、どうして潜在意識に潜り込んでしまったのかといえば、それをないものにしよう、見たくないものだ、と自分で思ったからなのだ。ネガティブな感情と向き合おうとせず、そこから逃げようとしてしまったがために、潜在意識にまで入り込んでしまったのである。

もしネガティブな感情がわき上がってきたなら、それを自分で認め、客観視して向き合って、居場所を与えてしまえばいいのだ。言ってみれば、表舞台に引っ張り出すのである。潜在意識に潜り込む前に、顕在意識にさらしてしまうのだ。


ネガティブな感情から解放されるには

実はネガティブな感情は、居場所を与えられて、表に出されると、極めて居心地が悪くなる性質を持っている。こうなると、自ら逃げていってしまう。

見て見ぬふりをしたり、それをできるだけ見たくないと思ったりすることこそ、ネガティブな感情には一番居心地がいいのだ。それが、彼らの習性なのである。

ならば、その習性をしっかり理解して、きちんと真正面から向き合ってやれば、ネガティブな感情は逃げていく。どうするのかというと、例えば嫉妬でも、焦りでも、妬みでも、なんでもいいのだが、それを感じたときに、ネガティブな感情を自覚することである。

できれば、言薬に出してみるのである。ああ、今、自分は焦りを感じているな、不安を感じているな、嫉妬を感じたな、妬みを感じたな、と自覚する。そして声に出してみる。

それは、ネガティブな感情をまさに自分で認めていることに他ならない。そうすると、ネガティブな感情は居心地の悪さを感じ、その場から去っていくのである。

ネガティブな感情がわき上がってきたとき、それを見て見ぬふりをすることは、その瞬間は楽である。しかし、それでは彼らはまったく逃げない。それどころか、潜在意識の中に住み着いて、中長期的に徐々に自分の心をむしばんでいくのだ。

一方、その存在を認め、真正面から向き合うことは瞬間的には辛いことかもしれない。しかし、そうすることで、永遠にネガティブな感情からは解放されることになるのである。