PRESIDENT Online 掲載

給湯器の点検商法が急増している。突然の電話や訪問で給湯器の点検を持ちかけ、不安をあおって高額な契約を迫るものだ。全国の消費生活センターへの相談件数は2023年度に急増し、前年同期の約3倍となった。ライターの高橋ホイコさんが国民生活センターに取材した――。

■「屋根工事の点検商法」と手口が似ている

突然の電話や訪問で「給湯器の点検をしています」と持ち掛け、「すぐに交換しないと」と不安をあおって高額な契約を迫る……。そんな給湯器の点検商法が急増しています(国民生活センター「給湯器の点検にご注意ください」2024年2月21日)。

国民生活センターによれば2023年度の相談件数は前年同期のなんと3倍。それ以前に目立っていた「屋根工事の点検商法」と手口が似ていることから、取り締まりが厳しくなったことで給湯器にシフトしてきたのではないかと言われています。

手口は年々巧妙化しており、おかしいと気づけるポイントも少なくなっています。とはいえ、セールストークには典型的なパターンがあります。それを知っていれば、不要なトラブルに巻き込まれなくなるはずです。

彼らはどんなふうに勧誘してくるのでしょうか。国民生活センターに取材をし、最新の手口を教えてもらいました。どんな相談が全国の消費生活センターに寄せられているのか、いろんな事例を見ていきましょう。

※消費生活センターは、商品の購入やサービスの利用に関する契約トラブルの相談を受け付ける都道府県・市区町村の機関。国民生活センターは、これらの機関に寄せられた苦情相談情報を収集し、情報提供を行っています。

■「突然の電話や訪問」で点検を持ち掛けてくる業者は要注意

気をつけたい典型パターンとは「突然の電話や訪問」「このままでは……」「いますぐ契約しないと……」の3つです。最初の段階「突然の電話や訪問」について見ていきましょう。

突然の訪問で「無料点検をしています」と勧誘してくるシンプルなケースもありますが、なかには身分を偽ってくる悪質なやり口もあります。

突然家に訪問してきて、ガス給湯器の無料点検に来ましたと言われた。どちらさまですかと聞くと、大手ガス会社の名前を名乗ったので、玄関のドアを開けてしまった。(2023年8月相談受付 契約者:90歳代 男性)


市から委託されてガスの点検に回っている。5分くらいで行けるが、家にいるか」と電話があった。了承して、業者が来た。(2023年10月相談受付 契約者:80歳代 男性)


自宅マンションに電話があって、マンションの管理会社から委託された業者だと名乗られた。ガス給湯器の定期点検があると言われ、点検を承諾して日時を決めた。(2023年5月相談受付 契約者:70歳代 女性)