Jonathan Stempel

[5日 ロイター] - 米連邦巡回区控訴裁判所(高裁)は5日、アフリカ中部コンゴ民主共和国のコバルト鉱山の児童労働を支えたとして元児童鉱夫らが米主要ハイテク5社を訴えた控訴審判決で、責任はないとの5社の主張を認めて訴えを退ける被告側勝訴の判決を言い渡した。

裁判官3人一致の判断。訴えられていたのはグーグルの親会社アルファベットやアップル、デル、マイクロソフト、テスラの5社。

レアメタル(希少金属)は電子機器で広く使用されるリチウムイオン電池材料。世界生産の約3分の2がコンゴ民主共和国で産出される。

グローバルサプライチェーンでコバルトを購入することに関し、判決は児童および人身売買と強制労働の被害者を保護する連邦法の下で「事業への参加」には該当しないと認定した。

判決でネオミ・ラオ裁判官は、労働搾取の人身売買には他の多くの当事者に責任があり、その中には雇用仲介業者や他のコバルト消費者、コンゴ民主共和国の政府が含まれると指摘。原告には損害賠償を求める法的立場があると認定したが、原告の主張について、5社が売り手と買い手以上の関係にあったり、児童労働の利用を阻止する権限を持っていたりしたことが示されなかったと判断した。

その上で判決は「原告側から、より具体的な主張がない限り、控訴審で係争点となるのは、コンゴ民主共和国内の鉱山で採掘されたコバルトのサプライチェーン(供給網)からハイテク5社が特定量を買うことが、強制労働に関わる者との『事業に参加すること』を合理的に証明していると言えるかどうかだ。われわれ裁判官は、そうではないと判示する」と明示。5社が強制労働を含む事業に参加したとは言えないとの結論を下した。