800年にわたり平戸で生き続けた松浦家とは?
平戸城主・松浦家の先祖をたどると、平安時代にまでさかのぼります。史料によると、平安時代末期の寿永4年(1185)に起きた壇ノ浦の戦いでは、水軍を率いて平家方として参戦し、鎌倉時代には蒙古襲来に対する防御のため参戦しています。室町時代に入り、1400年代半ば頃に勢力を伸ばし、戦国大名へと成長。背景には、海外交易による経済的発展と鉄砲等の武器輸入が考えられています。

城下町に残る「六角井戸」は、外交に長けた松浦家と中国(明)との関わりを示します。明の海商・王直(おうちょく)が、松浦隆信(まつらたかのぶ)に優遇され、平戸に定住しました。王直以外にも多くの明の商人が平戸に住み、明の様式である六角形の石柵で囲った井戸を造ったのです。外交の手腕は江戸時代に入ってからも発揮され、江戸時代初期には、オランダ商館とイギリス商館が平戸に開設されました。

天守をもたない平戸藩に大きな転換期が訪れます。元禄16年(1703)、平戸藩主・松浦棟(まつらたかし)が、江戸幕府の寺社奉行に抜擢され、新たな城を日之嶽城跡に築城することになりました。享保3年(1718)に平戸城として完成しましたが、明治4年(1871)に廃藩置県により廃城となり、北虎口門(きたこぐちもん)、狸櫓(たぬきやぐら)を残して取り壊されました。

松浦家の歴史を詳しく知りたい場合は、城下町の松浦史料博物館にお立ち寄りください。