5月18日に放送される、結成16年以上のコンビが漫才で頂点を競う「THE SECOND」(フジテレビ系)のファイナル。優勝候補と目される、金属バットの二人が出場全コンビの芸人のここでしか話せない裏話をお届けする。(前後編の後編)

—金属バットによるTHE SECONDグランプリファイナル2024進出コンビ徹底解説、後編です。続きまして、ななまがりさん。

友保 ななまがりさんなんか死ぬほどお世話になってますよ。

小林 僕ら一年目からお世話になってますね。

友保 森下さんめちゃくちゃオシャレで、ファッションモンスターなりましたけど、昔は汚なかったよな。

小林 ダボダボの服着てた。B-boy……でもないんかな。

友保 知りあいが作ってるパーカーとか着てたよな。今すごい垢抜けはって。
 

小林 初瀬さんは「Olympic」っていうスーパーの、見たことない飲み物をいっぱい買ってる。

友保 見たことなくてちっちゃいやつな(笑)。

小林 4種類ぐらい持ってきて公演の出番ごとに飲むのが変わっていく。

友保 そんで飲む音うるさい。「ンンアアッンン」いうて(笑)。

小林 タバコ吸う音もうるさいな。「ピュウウウウウ」(笑)。

—ななまがりさん(森下直人・初瀬悠太)は、お二人とも変わってらっしゃるんですか。

友保 いや、森下さんのほうがまともなんですけどね。ただ森下さんの中にリトル森下がいてはるんで。リトル森下からの指示がなかったら、だいぶ常識人。

小林 そうやな。

—リトル森下。

友保 椅子からチ●チンが生えてくるとか。一回それ言うたら椅子座られへんようになる。森下さん、もっと昔ギャンギャンやったよな。トレインスポッティングの登場人物みたいだった。目ぇグリグリでもっと痩せてはって。
 

—たしかに、あの映画の中にいても違和感なさそうです。

友保 森下さんね、昔、家近所やったんですよ。森下さんも西成に住んでたんですけど、見たことないくらいペラペラのマンション住んでましたよ。めちゃくちゃ薄い13階建てのマンション。あのパシフィックシアターの向いのところ。よう建ってんなぁっちゅうくらい細い、パラッパラッパみたいなマンション。

小林 あぁ(笑)。

友保 初瀬さんも東京きて、夜行バスの点呼のバイトしてて、声でかいからマイクいらんかったらしい。地声でやってたと(笑)。

小林 初瀬さんヘリコプターと同じ音量らしいよ。

友保 そんでウーバーイーツやってはって、頼まれるのが芸人の家ばかりやと。そんで芸人の中で初瀬チャレンジいうて、ウーバー頼んで初瀬さんがくるか競ってたよな。

ガールズバー好きのおっちゃん

—お次はタモンズさん(大波康平・安部浩章)。担当編集が密かに優勝候補に挙げています。

友保 タモンズさんね。あそこは大波さんが大キチですね。あの人あんま酒飲まないんですけど、唯一飲むお酒は「キティ」っていう、赤ワインをジンジャーエールで割ったやつ。キティなら何杯でも飲めるらしいです。そんで酔うとヨーロッパのオネエみたいな顔になる。で、最後のほうヨーロッパくだってエジプト行って、アフリカ行ったオネエになる。旅行好きのオネエ。
 

—『世界ふしぎ発見』みたいですね。安部さんは?

友保 小林、今日(ライブ終わりに飲みに)誘われとったよな?

小林 うん。安部さんは……前飲み行こうってなって、1回ガールズバー行ったんですね。(大阪)森ノ宮に唯一あるガールズバー。安部さん本人はおぼえてないって言ってるんですけど、めちゃくちゃガールズバー好きのおっちゃんになってて「彼氏おるの?」「ねえ彼氏おるの?」ってしつこく絡んで椅子から転げ落ちて「もうだめだ」って言って帰りました。

—あの独特の声で脳内再生されますね(笑)。

小林 安部さんて声高いし声めっちゃデカいんですよ。デカいんですけど、大波さんと二人でしゃべってるときはすごい小声でしゃべる。

友保 作戦会議のときな(笑)。

小林 こんなちっちゃい声出んねんや(笑)。

友保 あとあれよな、誰よりもすぐ腹ばいになるよな。脱ぐスピードも異常に速い。ほんま電話ボックス入ったスーパーマンぐらい速い(笑)。

去年一発いてこましたタイムマシーン3号

—続きまして、タイムマシーン3号さん(山本浩司・関 太)。

小林 タイムマシーンさんは、指名手配ですね。

—どういうことですか。

小林 新宿・歌舞伎町のバティオスという劇場に「ここでネタ合わせはしないでください」って監視カメラの写真があるんですけど、そこに映ってたのが完全にタイムマシーンさん(笑)。
 

友保 うしろ姿でも完全にわかる(笑)。あそこ向かいに歌舞伎町のハイジアとか入ってるビルあるじゃないですか? あそこの周りでネタ合わせしちゃダメなんですよ、邪魔になるから。だからみんな歩きながらやったりとか公園に行ったり、全員逃げてるんですよね。その中で「ここでネタ合わせしたらあかんよ」の写真が完全にタイムマシーンさん。デブが短パン穿いてた。あとなんかの番組の最終回に呼ばれたよな、おれら。マシンガンズさんと俺らとタイムマシーンさん。

小林 あとマヂラブさんもいた。

—すごいメンツですね。

小林 『スマートフォンデュ』(テレビ朝日系)やったかな。M-1の決勝でやるはずやったネタやってくれって。

友保 俺らも仕事きたてでようわからんから、なんや行かされて、夜の収録やったよな。「メイクしますか」って言われて「じゃあギャルメイクにしてください」って言ったらほんまにギャルメイクで漫才やった。あのあと飲みに行ったよな?
 

小林 行った。タイムマシーンさんはおらんかった。見取り図はいた。

友保 一緒に帰ったよな、盛山と。六本木の激安居酒屋から。

小林 六本木にこんな汚い店あんねやと(笑)。

友保 全テーブルびしゃびしゃ。店員が全員外国人。そんでサラリーマンが全員ジャケット忘れて帰る(笑)。タイムマシーンさんとの関わり、それくらいですよ。去年一発いてこましたくらい。マジラッキーでしたわ。

— 一説によるとあの敗戦でタイムマシーンさんに火がついて、今年本腰を入れてのぞんだと。

友保 まぁまぁまぁ、わしら先勝ってますから(笑)。

「芸人なんかはじめんかったらよかった」

—では大トリ、ザ・パンチさん(パンチ浜崎・ノーパンチ松尾)。去年のM-1グランプリの取材のときにパンチさんの話出てきましたよね。M-1決勝に進出したものの、その後1年の記憶がないというパンチさんのお話。今回のTHE SECONDでその歴史が塗り替えられるかもしれない。

友保 いやめちゃくちゃおもしろいですからね。寄席でめちゃくちゃウケてますから。

—あの抽選会のときもすごくおもしろかったです。

友保 最高でしたよね。ないですよ、盆踊りで落とすって。本物すぎて(笑)。あのあと浜崎さんと大波さんと三人でタクシーで帰ったんですけど「あれでよかったのかなぁ」って自分で反省してて。
 

—かわいい。

友保 あんな踊りするやつ反省したらあかんよ(笑)。で、そのあと飲み行ったんですけど「今日は最高だな」「いい夜、ありがとねみんな」「たのし〜」ってご機嫌だったんですけど、あるときスイッチが入って急に目がすわりだした。

—こわい。

友保 パンチさんめっちゃタバコ吸うんですよ。だから話が合うよな。あとあの人新幹線のことを護送車って呼ぶ。セカンドの控室におるときも「何でこんなことしないといけないの」「芸人なんかはじめんかったらよかった」ってずっと文句言うてはる。

小林 でも目的は俺らと一緒でしたよ。とにかく(劇場)単価を上げる。

友保 生活に潤いをですよ。でもパンチさんはとんでもなく手数多いですからね。いつやったか浜崎さん、みんなで喫煙所でタバコ吸ってるときに信じられへん色のヒートテック着てたんですよ。ほんまにあの、何ですかね、ピッコロのピクルスみたいな色のヒートテック着てて。「なんやそれ」って、みんなに「何着てんねん」と。

—ピッコロのピクルス色とは……。

友保 あの、放射能光ってるみたいな色あるじゃないですか。あれ着てて。「パンチのおっさんがなに着てんねん」と。でも「ヒートテックや」って言いはるんですよ。

—ヒートテックにそんなカラー展開ありましたっけ。

友保 ないでしょ。それでもヒートテックって言うから、タグ見せろと。「腰のとこついてるから見てくれ」って、そんなやりとりで20分つぶれました。
 

—これで出場全コンビの解説が終了しました。ありがとうございます。どのコンビも見事に……個性的でグランプリファイナルがますます楽しみになりますね。

友保 僕らくらいですよ、マトモなんは。なぜなら税金納めてますからね、ちゃんと。先月結構な大金払いましたよ、汗だくでATMのボタン押したよ。

小林 税金はたぶん……みんな払ってるな(笑)。

—とにかく、THE SECONDでのお二人の勇姿を楽しみにしています。

取材・文/西澤千央 写真/高木陽春 Peta Photo Studio