宮城県が主導する仙台医療圏の4病院再編構想で、村井知事は「仙台市内で今の病院の数が未来永劫維持されることは決してない」と指摘し、「市民の目線だけではなく病院経営の目線も必要」と再編の意義を語りました。

仙台医療圏の4病院再編構想は、仙台市太白区の仙台赤十字病院と、名取市の県立がんセンターを統合して名取市に移転。仙台市青葉区の東北労災病院と、名取市の県立精神医療センターを併設して富谷市に移転し、名取市には医療センターの分院を置くものです。

このうち仙台赤十字病院と県立がんセンターの統合移転は、すでに県と病院との間で基本合意が結ばれています。

この構想を巡っては、実現すれば仙台市内から2つの大きな病院がなくなることもあり、宮城県と仙台市との間で事務レベルでの協議も行われています。

協議の中で宮城県は「新病院の整備により救急搬送のカバーエリアが広がり搬送に時間を要するという課題解決につながる」と説明していますが、仙台市からは「根拠となる新病院の詳細が分からないと判断できない」との反論が出ています。

村井知事
「仙台市が言うもっと細かい打ち合わせ。この辺の地域の患者が出た時はここに運ぶということを詰めていかないと、救急搬送のシミュレーションができないということだと思う。それはその通りだと思うのでなるべくしっかり詰めていきたい」


村井知事は15日の定例会見で仙台市の主張に理解を示したうえで、再編の意義を次のように語りました。

村井知事
「私がこの問題についてもっと大切なことを理解してもらいたいのは、このまま今の仙台市内の病院が未来永劫全て残ることを前提に考えてはいけないということ。すでにかなり病床の稼働率が下がってきている。大きな病院の多くが赤字経営に陥っている。この赤字経営に陥っているというのは、間違いなく患者が少なくなってきている。だから仙台市民の目線だけではなくて、病院経営の目線も必要だということ。宮城県は病院経営の目線と仙台市民の目線と、合わせて黒川・名取の救急搬送の時間という全体のバランスを考えながらやっている」

そして、より大きな視野で今後のことを考えてほしいと仙台市に注文しました。

村井知事
「納得いかないからこのままでいいのではと仮に私の案をつぶしてしまったとしたら、私はおそらく10年後、20年後には、1つ2つ3つと仙台市内で病院がなくなっていってしまうと思う。実際に全国でそういう事象が発生している。そうなってから、仙台市内で病院がなくなったがどうすると慌てては間に合わない。そこが一番大きな問題。仙台市で今の病院の数が未来永劫、維持されることは決してないし、新しい病院が建設される可能性は非常に低い。そこを前提に物事を考えていかなくてはいけないと私は伝えたい」
「決して仙台市の言っていることが間違っているとは思っていないが、私としてはもう少し大きな目線で今後のことも考えてほしいと郡市長には伝えていきたい」