今季のNBAプレーオフは終盤戦に突入。ウエスタン・カンファレンスは第1シードのデンバー・ナゲッツがカンファレンス決勝でロサンゼルス・レイカーズを4勝0敗で下し、初のファイナル出場を決めている。

 一方、ボストン・セルティックスとマイアミ・ヒートのイースタン・カンファレンス決勝は3勝3敗と最終戦までもつれることに。第8シードのヒートはジミー・バトラーとバム・アデバヨを中心に3連勝で一気に王手をかけるも、第2シードのセルティックスは4、5戦を取り、第6戦ではデリック・ホワイトのブザービーターで劇的な逆転勝ちを収め、シリーズをタイに持ち込んだ。

 NBAのプレーオフで0勝3敗からシリーズをひっくり返したチームはないが、3連敗から3連勝したケースは過去3例ある。ここでは逆転勝利まであと一歩のところまで迫った3チームを紹介しよう。(G=ゲーム)

■1951年:ニューヨーク・ニックス(ファイナルvsロチェスター・ロイヤルズ)
G1●65−92
G2●84−99
G3●71−78
G4〇79−73
G5〇92−89
G6〇80−73
G7●75−79

 史上初めてファイナルまで駒を進めたイースタン・ディビジョン3位のニックスは、ウエスタン・ディビジョン2位のロイヤルズ(現サクラメント・キングス)にアウェーで連敗、ホームでの第3戦も落とし、早々に追い詰められる。

 しかしニックスは第4戦でハリー・ギャラティンが22得点、14リバウンド、ナット・クリフトンが14得点、17リバウンドをあげてシリーズ初勝利を飾ると、敵地での第5戦では5人が2桁得点をあげて連勝、地元での第6戦も制してタイに持ち込む。

 第7戦でも5人が2桁得点を奪うも、4点差で惜敗し逆転Vはならず。なお、同年からニックスは3年連続でファイナルに勝ち上がるがいずれも敗退、キングスにとってはこれがチーム唯一の優勝となっている。
 ■1994年:デンバー・ナゲッツ(カンファレンス準決勝vsユタ・ジャズ)
G1●91−100
G2●94−104
G3●109−111
G4〇83−82
G5〇109−101
G6〇94−91
G7●81−91

 レギュラーシーズンを42勝40敗(勝率51.2%)で終え、ウエスト8位でプレーオフに挑んだナゲッツは、ファーストラウンドで同年にリーグトップの63勝をあげたウエスト1位のシアトル・スーパーソニックス(現オクラホマシティ・サンダー)相手に2連敗から3連勝(当時の1回戦は3勝先取)。第8シードが第1シードを撃破する、史上初のジャイアントキリングを起こす。
 
 ただ、第5シードのジャズとのカンファレス準決勝では敵地で2連敗、第3戦も2点差で落とし後がなくなる。追い詰められた第4戦は守護神のディケンベ・ムトンボが11リバウンド、6ブロックとインサイドを支配し1点差でモノにすると、第5戦はブライアン・ウィリアムズが19得点、11リバウンド、4ブロック、ロバート・パックが19得点、7アシスト、6スティールとベンチ陣が奮起して勝利。第6戦もムトンボが23得点、12リバウンド、3スティール、5ブロックと攻守で暴れ回り、第4クォーターに試合をひっくり返して3連勝をマーク。

 第7戦でジャズのカール・マローンに31得点、14リバウンド、6アシストを許し、オフェンスではショットが不発で力尽きたものの、粘りのバスケでこの年のシンデレラチームとなった。
 ■2003年ポートランド・トレイルブレイザーズ(1回戦vsダラス・マーベリックス)
G1●86−96
G2●99−103 
G3●103−115
G4〇98−79
G5〇103−99
G6〇125−103
G7●95−107

 第6シードのブレイザーズはマーベリックス相手に、最初の3試合中2戦で2桁点をつけられ3連敗。だが、第4戦でマブズを79点に抑えて初勝利を手にすると、第5戦ではケガから復帰のスコッティ・ピッペンが巧みにゲームをコントロールし逆転勝ちを収め、第6戦では前半で26点差をつけて快勝し3連勝を飾る。

 第7戦は第4クォーター残り3分まで93−93の同点と勝利のチャンスがあったが、そこからマブズに14得点を奪われて万事休す。ブレイザーズは6人が平均2桁得点を記録し、シリーズ通算得点では709−702と相手を上回ったものの、ピッペンがヒザの負傷で2〜4戦、ビッグマンのデイル・デイビスが鼠径部の張りで第7戦を欠場したのが痛かった。
  上記の3チームと今回のセルティックスの異なる点は、ホームコート・アドバンテージの有無だ。セルティックスにとって第7戦をボストンの熱狂的ファンの歓声を味方に戦えるのは大きなメリットと言える。また、セルティックスはこれまで第7戦で27勝9敗(勝率75.0%)、今季のカンファレンス準決勝(vsフィラデルフィア・セブンティシクサーズ)を含め、過去4試合はいずれも勝利しており、対するヒートは6勝5敗(勝率54.5%)、過去2試合は敗退というデータもある。

 セルティックスがリーグ初の快挙を成し遂げるのか、それともヒートが第8シードのチームとして99年のニックス以来となるファイナルに勝ち進むのか。運命の一戦は明日、ボストンのTDガーデンで開催される。

構成●ダンクシュート編集部

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