現地5月29日のマリナーズ戦で、昨季のア・リーグMVPであるアーロン・ジャッジ(ヤンキース)が躍動した。打っては16・17号本塁打でリーグトップを独走し、守っても8回裏にテオスカー・ヘルナンデスがライトへ放った特大の当たりを、こともなげにジャンプ一番スタンドインを阻止してしまった。

 まさにジャッジ劇場の一夜だったが、たまったものではないのはヘルナンデスだ。8回の当たりが入っていれば、2ケタ本塁打に到達していたはず。思わず試合後に「アーロン・ジャッジよ、なぜだ……」とツイートしたのも無理からぬことだった。一方、@ツイートで“クレーム”を入れられたジャッジも、球界屈指の好漢ぶりを発揮するかのように丁寧に返答している。

「僕は何度も、頭上を超える君のホームランを見送り続けてきたからね。1本くらいいいじゃないか、なあ兄弟」
  2020〜21年に2年連続でシルバースラッガー賞を受賞したヘルナンデスへの称賛も交えた鮮やかな返答はさすがのひと言。これにはヘルナンデス本人も、「確かにな。でも2度とやるなよ!」と納得するしかなかった。2人のほほえましいやり取りには反響も大きく、ヘルナンデスにのこのツイートに対しては、「ジャッジはまたやるつもりだぜ!」「ブロンクスに来ればもう捕られないよ!」「オフにヤンキースに移籍するしかないぜ!」(ヘルナンデスはオフにFA)とファンからも“アドバイス”が飛んでいた。

 なお、ジャッジはこの捕球がちょうど通算10個目のホームランキャッチだった。これは、マイク・トラウト(エンジェルス/12個)、ムーキー・ベッツ(ドジャース/11個)に次ぐ現役3位の記録。上の2人の外野守備試合数が1000を超えている一方、ジャッジはわずか665試合でこれだけもぎ捕っているのは驚異的だ。201cmの長身を誇るジャッジに対し、スタンドギリギリの当たりはまさに鬼門。本人の言う通り、頭上をはるかに超える特大の当たりをぶち込むしかないだろう。

構成●SLUGGER編集部

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