今季のデトロイト・ピストンズは、昨年10月30日のオクラホマシティ・サンダー戦から12月28日のボストン・セルティックス戦まで28連敗を喫し、1シーズンにおけるNBA史上ワーストの連敗記録を塗り替えることとなった。

 ただ、チームはケイド・カニングハムやジェイレン・デューレン、ジェイデン・アイビーといった若手が奮戦。3月18日(日本時間19日、日付は以下同)時点でイースタン・カンファレンス14位の12勝56敗(勝率17.6%)と低迷しているが、リーグワースト記録更新の危機からは免れた。

 ピストンズは1月14日のトレードを皮切りに、2月8日のデッドラインまでに計5つのトレードを断行。期限最終日にはジョー・ハリス、キリアン・ヘイズ、ダニーロ・ガリナーリ(現ミルウォーキー・バックス)、ダヌエル・ハウスJr.をウェイブ(保有権放棄)した。

 そうしたなか、エバン・フォーニエはデッドラインのトレードでイースト上位のニューヨーク・ニックスから加入。31歳のベテランは、来季契約がチームオプションということもあり、バイアウトで完全FA(フリーエージェント)となって他球団へ移籍する選択肢もあったがピストンズに残留し、現在は新人アサー・トンプソンの控えを務めている。
  3月17日のマイアミ・ヒート戦では、4本の3ポイントを含むシーズン最多の18得点をマークしたが、チームはバム・アデバヨにブザービーターを決められて101−104で惜敗。フォーニエは悔しさのあまり、試合後にボールを観客席へ蹴り入れたことで、リーグから2万5000ドル(約372万5000円)の罰金処分を科された。

 ただ。ニックスでローテーションから外れ、出番を失っていたフォーニエにとっては、成績不振ながら出場時間を得られるピストンズでの環境、そして指揮を執るモンティ・ウィリアムズHC(ヘッドコーチ)の存在が大きいと地元メディア『The Detroit Free Press』に話していた。

「僕がプロ入りして以降、彼は最高の教師の1人さ。ヨーロッパ時代のコーチたちを思い出させてくれるんだ。通常、NBAではシステムを導入し、選手たちはプレーするだけ。(けど)彼はすごく細部にまでこだわるんだ。特にディフェンス面でね」

 現在ピストンズでは22歳のカニングハムとアイビー、21歳のトンプソン、20歳のデューレン、ユタ・ジャズから加入した28歳のシモーネ・フォンテッキオが主力を担っている。

 今季はすでにプレーオフ進出の可能性が消滅しているとはいえ、ピストンズは31歳のフォーニエ、38歳のタージ・ギブソンとベテラン陣が若手をサポートする体制を作っている。数年後のプレーオフ進出を目指し、着実に前進していると言えるだろう。

文●秋山裕之(フリーライター)

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