現地時間4月9日(日本時間10日、日付は以下同)、フィラデルフィア・セブンティシクサーズは、ホームのウェルズファーゴ・センターでデトロイト・ピストンズを120−102で下し、連勝を6へ伸ばした。

 チームを引っ張ったのは復帰4戦目のジョエル・エンビード。両チーム最多の37得点に11リバウンド、8アシスト、3スティール、2ブロックと暴れ回ったほか、バディ・ヒールドが5本の3ポイントを含む18得点に6リバウンド、ケリー・ウーブレイJr.が17得点、3ブロック、トバイアス・ハリスが15得点、12リバウンドをマークした。

 7年連続のプレーオフ出場を目指すシクサーズは、10日終了時点でイースタン・カンファレンス7位の45勝35敗(勝率56.3%)。レギュラーシーズン2試合を残し、プレーオフへストレートインできる6位のインディアナ・ペイサーズ、5位のオーランド・マジック(いずれも46勝34敗/勝率57.5%)を1.0ゲーム差で追っている状況だ。

 そんななか、今季途中加入のヒールドが珍しい記録に迫ろうとしている。

 通常、レギュラーシーズンの全試合でコートに立った場合、選手は82試合の出場がマックスとなるが、2月8日のデッドラインに3チーム間トレードでペイサーズから加入したヒールドは、この日のピストンズ戦終了時点で今季82試合目の出場を果たした。前所属チームと現チームのスケジュールの兼ね合いで、シーズン84試合に出場しようとしているのだ。

 シクサーズは12日にマジックとの直接対決、14日にブルックリン・ネッツとのシーズン最終戦を控えている。プレーオフに自動進出できる6位浮上がかかっているだけに、最後まで主力を休ませることはないだろう。
  ヒールドは過去7シーズンのうち、2シーズンで82試合のフル出場を達成。それ以外の5シーズンも、コロナ禍の短縮シーズンを含めてすべて71試合以上プレー、欠場はトータルで6試合というタフガイだ。

 今季あと1試合出場して83試合となれば、昨季のミケル・ブリッジズ(フェニックス・サンズとネッツに所属)に続く史上43人目、84試合になった場合は2004−05シーズンにサンズとニューオリンズ・ホーネッツ(現ペリカンズ)でプレーしたケイシー・ジェイコブセン以来21人目の到達となる。(※NBA記録は1968−69シーズンのウォルト・ベラミーで88試合)

 シーズン中の移籍がなければ起こりえないこの記録について、本人は「トレードされた後でも、試合が恋しくて仕方なかった」と言い、次のように語っている。

「俺はフル出場することにプライドを持っている。このリーグで鉄人と呼ばれるんだからね。あと2試合だっけ? できたら83、84試合に出られるといいね。82試合をプレーできるのはありがたいことなんだ。自分の身体をしっかりケアし続けていくだけさ。来年もまたそうなることを願っている。いつだってフル出場することはゴールなんだ」

 リーグ有数のシャープシューターとして知られる31歳は、キャリア8年目の今季も平均25.9分のプレータイムで12.0点、3.2リバウンド、2.8アシストに、3ポイント成功率38.4%(平均2.6本成功)を誇る。

 一方、昨季までの7シーズンで、プレーオフの舞台に立ったことは一度もない。「プレーすることを愛している」と語る男は、新天地でようやくその機会を手にするかもしれない。

文●秋山裕之(フリーライター)

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