バレーボール男子日本代表の主将・石川祐希にイタリアでまたしても凄い試合を見せられた。

 石川はアリアンツ・ミラノに所属する全4シーズンのプレーオフへ出場。新型コロナウィルス蔓延の沈静化を受けて2022-23シーズンから従来の5試合制に戻ったシリーズを今まさに戦っている。

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 昨季は準々決勝でレギュラーシーズン無敗だったペルージャを倒して4強入り。準決勝でチヴィタノーヴァに紙一重の差で敗れたが、チームの快進撃を支えた圧巻のパフォーマンスは、世界最高峰リーグに“強豪キラー”の呼び名をとどろかせることとなった。

 現在、今季の準々決勝は佳境へ。6位で出場のミラノは白星発進の後に2連敗で、3位ピアチェンツァに4強入りへ王手を許して第4戦を迎えた。取材に訪れたその試合は、2セットダウンであと1セットを譲れば敗退の窮地。もしも、このまま試合が進んだら石川に何を聞いたらいいんだろう...と頭をよぎった。だが、その心配は無用だった。そこから鮮やかな大逆転勝利を収め、第5戦へ望みをつないだのだ。

 歓喜の渦に包まれた本拠地が静けさを取り戻してから話を聞きたかった。試合終了からメディアやファンサービスに明け暮れた石川がイタリア公営放送のインタビューを終えたところで、目で合図を送ってくれた。
  疲れていないはずがない。「座りますか?」と尋ねると一度ソファーに腰を下ろしかけたが、「やっぱり、立ったままで」と立ち上がった石川に、まずはチームとしての戦いを振り返ってもらった。

「しっかりとフルセットでも勝つことができたので、それはひとつ良かったことだと思います。1、2セット目、嫌な取られ方をして、流れは向こうに行きかけたのですが、3セット目はなんとか踏ん張って、途中から入った(オスニエル・)メルガレホ選手が良い雰囲気を持ち込んでくれたこともあり、チームはよりひとつになれたと思います。第3セットを取ったことで自分たちのムードが好転し流れが良くなり、ピアチェンツァにプレッシャーをかけられたので勝つことができたと思っています」と総評。

 個人的には、「サーブはよかったと思います。レセプションはところどころミスがあったので、その辺は修正すべき部分かなと...。スパイクも決めるべき場面では決められたのですが、ストレートへ打って止められるケースがこの試合では非常に多かったので、そこを次戦までに修正したいです」と述べた。
  この対戦を会場から生中継した公営放送『Rai spot』の解説を担当した元イタリア代表のアンドレア・ルッケッタ氏が、試合前に勝負どころとした後衛からの攻撃について、「司令塔のパオロ(・ポッロ)選手が上げてくれたので、それを決めるだけでした。1、2セット目はちょっとパイプが少なかったかなと思うところもありましたが、3セット目以降はそこをしっかり使ってくれて、僕のほか途中出場のメルガレホ選手へもトスが上がっていました。僕たちのチームはしっかりパイプが機能している時は非常に強いので、この後もそういうバレーをしたいです」と言及した。

 気になったのは第4セット中盤の転倒。レフト攻撃の際にフロアに倒れ込んだ後、脚を気にしていたことだ。昨季のプレーオフで筋肉系の痙攣が発生していたこともあり、状態を尋ねると、「いや、つったわけではないんですけど、膝がちょっとおかしい感じがして」と回答。その後もプレーを続行して試合後もロッカールームへ引き上げることなく、長時間にわたりメディアやファンに対応する姿を見て胸をなでおろした。

 また、高校時代からタッグを組む野口嵩広メディカルトレーナーが、準決勝を視野に近々、今季4回目の渡伊との朗報。それを笑顔で語る様子から、厳しい戦いをこなす上で、信頼を置く同氏の力強いサポートが大きな安心材料となることは間違いなさそうだ。

 2セットを失い苦境に立たされてからも、チームメートを集めて一段と声を張り上げ、大きな身振りで鼓舞し続けた石川。なかでも、強く印象に残ったのは第5セット終盤、ポッロのツーアタックと石川のレフト弾に続き、相手ブロックが皆無の状態でメルガレホのパイプ攻撃が決まった場面だ。13-5としたこのプレーの直後、石川は人差し指を誰かへ向けて何かを叫んでいた。

 そのシーンについて尋ねると、「あの時は、(ブロックを翻弄したセッターの)ポッロ選手に向けて、『今の(得点を取ったの)は、お前だよ!これはお前(の好プレーによる得点)だ!』って言ってましたね。さっきの話と重なるんですけど、ミラノはパイプが使えると本当に良いチーム。決定率の高いパイプをあの場面で選択したポッロ選手が素晴らしかった」と明かしてくれた。
  4強入りを懸けて挑むアウェーでの第5戦へ向け、「次は勝っても負けても準々決勝で最後の一戦になります。なんとしても絶対に勝って去年と同じステージに立つためにしっかりコンディションを整えたいと思います」と意気込みを語った。

 そして、プレーと行動でミラノの求心力となっている背番号14は、「5戦目、絶対に勝って準決勝へ進みます」と言い切った。

 中2日で挑む大勝負は日本時間28日早朝(午前4時30分)に幕を開ける。

取材・文●佳子S.バディアーリ

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