現在開催中の女子テニスツアー「マイアミ・オープン」(3月19日〜31日/アメリカ・マイアミ/ハードコート/WTA1000)のシングルスで決勝に進出した元世界ランク7位のダニエル・コリンズ(アメリカ/現53位)が、試合後の記者会見に登場。その中で自身の現役引退の決断に疑問の声を上げた人々に対し、「私個人の選択にすぎない」と反論した。

 闘志むき出しのプレーで多くのファンを魅了してきた30歳のコリンズは、これまでに2度のツアー優勝を経験。2022年の全豪オープンでは四大大会のシングルスで自身初の決勝進出を果たし、同年7月にはキャリアハイの世界7位をマークした。

 ここ最近は思うような結果が出ていなかったコリンズ。そんな彼女が多くの人々を驚かせたのは今年1月の全豪でのことだった。2回戦で現世界女王のイガ・シフィオンテク(ポーランド)に敗れた直後の記者会見で突如「2024年は私の最後のシーズンになる」と発表。当時はその理由について「テニス以外にも成し遂げたいことがあるし、そのための時間を確保したい。子どもを持つことも私にとっては最優先事項だから」と簡潔に説明していた。

 引退を表明して以降は、疑問の声が多く寄せられたとコリンズは明かす。中でも多かったのが「性別的な理由でテニスをやめるのではないか」という、子どもを持つことへの願望を明かした上記のコメントを踏まえたものだったそうだ。それに対してコリンズは自身が数年前から抱えている関節リウマチ(関節痛や関節の変形が生じる膠原病)にも触れつつこう続けた。
 「私は妊娠能力に影響を与える慢性炎症性疾患を抱えているの。以前から時折説明してきたけど、引退に関しては非常に個人的な状況によるものだし、個人的な選択にすぎないわ。テニスと私の(選手としての)キャリアの他にも、やるべきことがたくさんある。

 確かに私は自分のキャリアをとても楽しんでいるし、コートに出て競争するのも大好きよ。結局のところ、これは本当に大きな人生の決断になった。そのことは(周りの人も)理解してくれると思うわ」

 引退発表後に多くのファンから厳しい目を向けられたことについては、次のように所感を語っている。

「引退を発表した時、みんなが祝福してくれて、私を非常に興奮させてくれたような気もしたから、興味深いことだなとは思った。でもその一方で、自分の決断を(しっかりと)正当化しなければならなかったとも感じている。私が男だったら、きっとそこまで正当化する必要はなかったのだろうとも思う」

 無論性別に関係なく引退のタイミングは自由である。深刻な病気を抱えながらのツアー転戦も、コリンズにとって大きな負担になっていたとなれば致し方ないことだろう。彼女の考えを尊重するとともに、最後まで温かい目でプレーを見守ってあげたいものだ。

 なお、コリンズは四大大会に次ぐWTA1000シリーズでの初優勝を懸け、現地30日に行なわれるマイアミ決勝で第4シードのエレーナ・ルバキナ(カザフスタン/4位)と対戦する。

文●中村光佑

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