レスリングの2021年東京五輪フリー125キロ級金メダリストでWWEと契約を結んでいたゲイブル・スティーブソン(23)が、同団体を解雇された。複数の米メディアが伝えた。

 米紙「ニューヨーク・ポスト」や複数のプロレスメディアによると、4月の祭典「レッスルマニア」後に恒例となっている人員整理の対象になり、3日に解雇された。今回も10人以上がWWEに契約を打ち切られたが、その中の一人が金メダリストだったという。

 スティーブソンは東京五輪後の21年9月にNIL契約を結んだ。当初はミネソタ大学に通いながらプロレスのトレーニングを続ける予定とされ、同年10月には「WWEドラフト」でロウ所属となった。だが、ゲスト枠で登場することはあっても試合出場はなく、カレッジレスリングに復帰。当然のようにレスリングの活動に没頭し、デビューの機会はめぐってこなかった。

 本格的なデビュー戦は23年7月のNXT「グレート・アメリカン・バッシュ」。元US王者バロン・コービンとのシングル戦に臨んだ。ところがベテランのコービンにあしらわれた末に、両者リングアウトで消化不良の結末。あまりの〝塩試合〟に、観衆から大ブーイングが起きたほどだった。

 今回の解雇により、WWEで放送されたスティーブソンの試合はこの1戦のみで終わった。多くの米メディアは、スティーブソンが解雇された理由に「プロレスファンからの支持を得られなかった」ことを挙げている。プロレスとレスリングの〝二刀流〟とは聞こえがいいものの、ファンには「どっちつかず」と映っていたようだ。

 スティーブソンの解雇についてWWE、本人ともに公式コメントを出していない。一方でCCO(最高コンテンツ責任者)のトリプルHは4日(日本時間5日)のPLE「バックラッシュ」後の会見で、今回のタイミングで解雇されたドリュー・グラッグについて聞かれ、こう答えている。

「我々は常に才能ある選手をリリースしている。NFL(米プロフットボールリーグ)は、年間400〜500人の選手を解雇する。それが我々の仕事の一部だ。人材を引き入れ続けることはできないので、この仕事の不運な部分は才能が放出されることだ」

 スティーブソンの才能は、プロレスには適していなかったと判断されたのかもしれない。