余力たっぷりに馬なり併入したアスコリピチェーノ(手前)
余力たっぷりに馬なり併入したアスコリピチェーノ(手前)

桜花賞2024

[GⅠ桜花賞=2024年4月7日(日曜)3歳牝、阪神競馬場・芝外1600メートル]

 牝馬3冠の第1ラウンド・第84回桜花賞(7日=阪神芝外1600メートル)の最終追い切りが3日朝、東西トレセンでスタートした。今年は多路線から複数の強豪が集結したが、まずは無敗で阪神JFを制して2歳女王になったアスコリピチェーノ。ここは4か月ぶりの実戦となるが、一気に桜の女王にステップアップするのか? 最終調整の動きを追った。

 デビュー3連勝で阪神JFを制し、昨年のJRA最優秀2歳牝馬に輝いたアスコリピチェーノ。無敗での桜花賞制覇となれば、21年ソダシ以来となる史上9頭目の快挙となる。

 偉業達成へ――。この中間は前走同様、早めに栗東トレセンに入厩して調整。中間に軽い熱発こそあったものの、帰厩後の過程は順調そのもの。「レース後の疲労度で言えば、新潟(新潟2歳S)の時よりも前走のほうが少なかったです。その分、早めから乗り込むことができました」と黒岩調教師の口ぶりも上々だ。

早めの栗東滞在がいいほうに

 先月27日の1週前追いでは、先週の大阪杯で11番人気3着と激走したルージュエヴァイユと併せて気迫の併入フィニッシュ(ウッド6ハロン82・2―11・2秒)。「こちらに来て最初の1本目(17日)からしっかりやれたのは何より。前走に続いて2回目の滞在となることで馬が競馬が近いことに感づくことで、それが悪いほうに出ないか。そんな懸念もありましたが問題ありませんでしたね。むしろ、いいほうに出ていると思います」。大一番に向けて態勢は着々と整いつつある。

 注目の総仕上げは、ウッドで同厩フェブランシェ(古馬2勝クラス)を3馬身先行させての併せ馬。ゆったりした序盤の入りから徐々にペースを上げていき、人馬の呼吸ぴったりに直線へ。あいにくの雨で重くなった馬場もノープロブレム。牡馬顔負けのフットワークでチップを蹴散らしてグイグイと加速し、ラスト1ハロン11・6秒(6ハロン80・6秒)と迫力十分の伸び脚で併入フィニッシュ。ラストの手応えにはまだ余裕があり、“あとは本番で”とばかりに気持ち良さそうにゴール板を駆け抜けた。馬体もひとつ年を重ねてさらにパワーアップした印象。仮に当日、多少馬場が渋っても大きなマイナスにはならないはずだ。

「思っていた以上に軽く時計を出せていましたし、上がってきた馬の雰囲気もすごく落ち着いていて息の入りも早く、無事に最終追いを終えられたと思っています。前回以上に踏み込んだ調整ができていますし、馬体重も増えていながらそれでも重さはなく、成長を実感しているところです」と黒岩調教師は自信を深めた。

 思惑通りの調整を経ていよいよ桜冠へ――スピードと瞬発力を兼ね備えたダイワメジャー産駒がライバルを一蹴する。

著者:東スポ競馬編集部