プリークネスSを制したシーズザグレイ(ロイター=USA TODAY Sports)
プリークネスSを制したシーズザグレイ(ロイター=USA TODAY Sports)

【TPC秋山響の海外競馬解析】18日に米メリーランド州のピムリコ競馬場で行われたGⅠプリークネスS(ダート9・5ハロン)は6番人気のシーズザグレイ(牡3=父アロゲート)が重馬場を逃げ切って優勝。GⅠケンタッキーダービーを制して臨んだミスティックダンは3コーナーから4コーナーにかけて勝ち馬との差を詰めていったが、直線で突き放されて2馬身1/4差の2着。2019年以降続いている米3冠レースの勝ち馬が全て異なるという状況を打破することはできなかった。

 勝ったシーズザグレイは2歳時は5戦1勝と平凡な成績。今春も2月のシーズン初戦を勝った後、3月のGⅢジェフルビーSと4月のGⅠブルーグラスSでそれぞれ3着、7着に敗れてケンタッキーダービー出走はかなわなかったが、ケンタッキーダービー当日に同じチャーチルダウンズ競馬場で行われた前走のGⅡパットデイマイルS(ダート8ハロン)で重賞初制覇。その勢いに乗って一気にビッグタイトルを手にした。

 印象的だったのは調教師と騎手の対比。

 管理するD・ルーカス調教師は88歳の大ベテランで、プリークネスSはこれでコデックス(1990年)、タンクスプロスペクト(85年)、タバスコキャット(94年)、ティンバーカントリー(95年)、カリズマティック(99年)、オックスボウ(13年)に続く7勝目。一方、プエルトリコ出身のJ・トーレス騎手はデビュー3年目の25歳。これがプリークネスSのみならずGⅠも初制覇となった。

 シーズザグレイだけでなく、トーレス騎手にとっても初の重賞制覇だった前走後には多くのエージェントから別の騎手の売り込みがあったそうだが、ルーカス調教師はこれを全て断ってコンビを継続。大一番で最良の結果を手にした。

著者:東スポ競馬編集部