また、PL(損益計算書)におけるマーケティングコストの構成比の高さについても認識すべきです。商品原価や配送費など、ECで売上を作り出すのに必須なコストは重く感じますが、圧倒的に重いのはマーケティングコストであり、ここが成果として適切に返ってくる状態を作れるかどうかが競争力の重要なポイントです。

D2Cの収益構造 (画像:『LOCAL GROWTH 独自性を活かした成長拡大戦略』より)

ECで買ったお客様を逃がさないために

自社ECにとっていちばんの課題は、集客です。まずはお客様にサイトを知ってもらわないことには、売り上げにつながりません。お客様が自分で検索することでサイトを訪れることもありますが、それを待っていても安定した売り上げにはなりません。

集客のためにはさまざまな施策がありますが、取り組みやすいのはSNS広告です。FacebookやX、Instagram、TikTokの広告を活用して認知を図り、コスト管理を最適化していくことが必要になります。

ただ、近年では、広告を使ってお客様に知っていただくことと同時に、一度サイトに来ていただいた方ににファンになってもらうことが大切になっています。

これだけ消費があふれている時代に、自分たちの商品にたどり着いてもらうチャンスは限られています。CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)やLTVというように、1回買ってくださったお客様を逃がさず、しっかりと自分たちの良いところを感じていただき、長く使っていただくことが必要です。

直接的に商品を売ることを優先してしまうと、広告やサイト上の訴求がどうしても押しの強いものになってしまったり、脚色してしまったりすることもあります。そのメッセージに違和感があれば、お客様が離脱する可能性が高くなります。