お客様を育てていくための施策には時間がかかりますが、継続的な成長のためには欠かせません。特にこれからの時代はその傾向が強くなります。

世の中には、同じようなものがあふれています。たとえばボディーソープを買おうと思えば、どれを選んでいいのかわからないくらい、たくさんの商品があります。よりきれいになるもの、いい香りのするものを選ぼうと思いますが、機能面ではそんなに大きな差はありません。

ECでモノを売るためにすべきこと

そうした中で世の中で求められるのは、機能的価値から情緒的価値に移行しています。

その商品を消費することで、どんな気持ちになれるのか。それがほかの商品では得られない価値になります。消費者はみな、コンビニやドラッグストアに行っても買えない、あるいは買わないものを探しているのです。

では、何が情緒的価値を生み出すのかといえば、その企業や商品だけが持つ世界観です。ボディーソープであれば、忙しい日常の中で、少しほっとできる時間を過ごすためのものだと打ち出す。それをビジュアルや言葉で表現することで、消費者の共感を引き出します。

最低限、「なぜそれをつくっているのか?」「どんな想いでつくっているのか?」といった部分は伝えるべきです。

加えて、「どんな人がやっているか?」という部分も大切です。

一時期から農家の方の顔写真が載ったパッケージの野菜などが売られるようになりました。生産者の顔が見えることで安心と共感が生まれる効果があり、これはECでも同様です。

企業が消費者にダイレクトに商品を売る意味は、ブランド独自の世界観や価値を伝えることにあると思います。ECモールでは、自社の思うように商品の魅力や世界観を表現することはできません。小売店であっても、商品の陳列場所や見せ方をメーカーが強制的に指定することはできません。

それが自社ECであれば、思うようにデザインできる。これからは、自社ECを通してブランドの「世界観」を消費者に伝えることが、ファン獲得へとつながっていくでしょう。

著者:荻原 猛,北川 共史,真野 勉,山口 拓己