6月2日(金)に放送された「ガイアの夜明け」(毎週金曜夜10時)のテーマは、「街が“ととのう”切り札!?〜サウナで熱くする〜」。
人気絶頂のサウナ。心身が“ととのう”だけでなく、ビジネスや地方活性化にもつなげる動きがでてきた。横浜中華街は、サウナを目玉にした街おこしを開始。
食べ歩きだけでなく、サウナから本格中華に足を運んでもらう仕掛けを狙う。
一方「日本航空」は、社内のサウナ部を足がかりに、国内157社が参加する巨大企業連合を結成。進化する“サウナ最新事情”に迫る。

横浜中華街に…なぜサウナ!?「サウナ王」の戦略


160年以上前の開港をきっかけに生まれた横浜中華街。その歴史と共に歩んだ店が「聘珍樓」。日本で最も古い中国料理店の一つとされ、中華街の象徴ともいうべき老舗中の老舗だ。

しかし、去年5月、「聘珍樓 横濱本店」(横濱本店以外の8店舗は営業中)が閉店し、中華街に激震が走った。中華街では、この2年間で60もの店が閉店している。

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「横浜中華街発展会協同組合」の高橋伸昌理事長は、「昔は料理店だけだったけれど、今は考え方を変えていかなければならない」と話す。新たな中華街のシンボルが必要だというのだ。

そこで、横浜中華街初のサウナプロジェクトを発案したのが、「横浜中華街発展会協同組合」広報の進藤さわとさん(47)。

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「(聘珍樓の閉店が)ニュースに出て、『中華街は大丈夫か?』と、知り合いからも連絡がきた。本当にこれから復活していかなければいけない」。

進藤さんが案内してくれたのは、中華街の中心にほど近い雑居ビル。「3階がサウナで、サウナが終わったあとは宿泊もできる。横浜観光に来たお客が盛り上がるようなサウナ」と進藤さん。空いていたワンフロアをサウナ施設にするため、去年11月に工事をスタートさせた。

本格的なサウナをつくるため、進藤さんは、サウナなど温浴施設の再生請負人、「楽楽ホールディングス」の太田広さん(55)に依頼。太田さんは、「自分のやっている仕事は、その地域に求められている。1つでも良い店を増やすと、その店に全国からお客が集まってくる」と話す。

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これまで手掛けた施設は400以上。ユニークなアイデアで、数々のサウナを繁盛店に変えてきた。例えば、「頭まで浸かりたい」という客の願望を叶えた、深さ171センチの水風呂、蒸気を倍にして一気に発汗できるサウナ室など。太田さんは、サウナを愛する人たちから「サウナ王」と呼ばれている。

大学卒業後、コンサルティング会社に入社。太田さんは、温浴施設の経営改革に携わってきた。自らも年間300日以上サウナに入る、根っからのサウナ好き。2006年に会社を設立し、全国のサウナ施設の再生を手がけている。

施設側にとっても太田さんは心強い存在で、「ザ・ベッド&スパ所沢」熊谷裕介支配人は、「(お客が)全国から来る。(売り上げは)毎年右肩上がりで、お客が離れない」と話す。

1月。太田さんは、サウナの建設現場にやってきた。その土地ならではのサウナを作るのが太田流。今回は、横浜の名所「赤レンガ倉庫」をイメージした内装にこだわった。
次に向かったのは、横浜中華街の名店「重慶飯店 本館」。太田さんは、本格的な四川料理で有名な老舗に、オリジナルの「サウナ飯コース」の開発を頼んでいた。

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「あたたかい蒸し鶏の山椒風味」、特製の味噌や唐辛子で濃いめに味付けした「豚ヒレ肉の麻辣強火炒め」、自家製の発酵唐辛子を使った「白身魚と発酵唐辛子の具だくさんスープ煮込み」など、ボリューム満点の料理が並ぶ。
「辛い、酸っぱい、スタミナ、薬膳とか、一通りそろっているんですよ。それがピッタリ合っている。最強のサ飯なんです」と太田さん。

「重慶飯店」だけでなく、他店も次々とサウナプロジェクトに参加。ある店主は、「めちゃくちゃ期待しています。サウナ上がりに中華を食べてもらえればうれしい」と話す。「横浜ビール」は、夏に向けてサウナ専用のビールを開発中だ。

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2月14日。中華街のサウナに、日本初導入のドイツから取り寄せた水車式サウナストーブが運ばれた。30分に1度、自動で水を流し、大量の蒸気を発生させる。
この日は火入れが行われ、初めてサウナストーブを稼働させた。火照った体をととのえる水風呂には、中華街で仕入れたハッカなどの漢方薬を使用。抜群の清涼感が味わえる。

4月8日、オープン当日。「ハレタビサウナ」と名付けられた店の前には、早くも開店を待つ人たちの姿が。しかし、今回の目的はサウナだけではない。中華街の飲食店に、どうお客を誘導し、「サウナ飯」を食べてもらうかだ。サウナを中心とした街の活性化。果たしてその行方は?

「JAL」のサウナ部 157社参加の巨大企業連合に発展!?


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「日本航空」の社内にある「JALサウナ部」。「日本航空」の岡本昴之さん(36)が、社内コミュニケーションを促進する目的で創部し、パイロットや客室乗務員など約500人が加入する一大勢力になっている。

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岡本さんは、さらにサウナを通じてつながる企業連合「ジャパンサウナ部アライアンス」を結成。現在は、「日本IBM」「森永製菓」「ローソン」など、157社が加盟している。
この日、岡本さんが東京・神楽坂にあるサウナを訪れると、異なる企業のサウナ部に所属する人たちが集まっていた。話が弾み、やがて4社の間で、海外の働き方を体験するビジネスツアーのアイデアが生まれる。

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「普段はオフィスなどの堅苦しいところで会うが、こういうところで会うと一気にゼロ距離になる」と岡本さん。本場フィンランドでは、サウナの中でビジネスの商談や接待が当たり前のように行われている。サウナで打ち解け、業種の壁を超えた新事業が生まれることもあるのだ。

岡本さんは、2009年「JAL」に入社。しかし翌年、巨額の負債を抱え、「JAL」が経営破綻。「ショックだった。同期で転職したメンバーも結構いたし、JALに居続けるか、別の道を歩むか…。当時は未来を見る余裕もなかった」と話す。
その後、「JAL」は再建を果たし、新たな事業を自由に生み出す部署「イノベーションラボ」を設立。岡本さんはその一員として、サウナを新たなビジネスに育てようとしていた。

地方への集客にも貢献? サウナで人を呼べ!


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山口県北部にある長門湯本温泉は、室町時代から続く歴史ある温泉街だ。「人気温泉地ランキング」で、去年は50位。お客にイメージを聞いてみると…
「雰囲気的にはいいと思うが、観光名所という段階で少し足りないところがある」
「小さい頃はよく来ていたが、最近は来ていない。もうちょっと有名になってほしい」との声も。

岡本さんは長門市から依頼を受け、長門湯本を「サ旅」で盛り上げられないかと奮闘していた。
航空券とサウナ施設などをセットにした「サ旅」には、国内線活性化の狙いもある。
売りの一つは、各地の自然を生かしたアウトドアサウナだ。岡本さんは、すでに北海道でテントサウナのイベントをプロデュース。水風呂は自然の川で、これにはサウナファンも「いや最高!」と声を上げていた。

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岡本さんは、サウナツーリズムで長門湯本に人を呼び込むため、この街だけの魅力を探っていた。街の中心を流れる音信川の上流は、蛍も生息する清流で、長門湯本の観光資源の一つ。その清流の近くで楽しんでもらおうと、5年前から川床の整備が進められていた。

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「音信川を水風呂にしてテントサウナをやる。最高のコンディション」と意気込む岡本さん。向かったのは一軒の旅館「玉仙閣」で、宿の若旦那・伊藤就一さんと長門湯本温泉の関係者たちに、早速「サ旅」をプレゼンする。

しかし、話を聞いた長門湯本側は、「サウナーとはどういう人たちなのか? 温泉街でサウナを導入し、伊藤さんが成功したというためには、旅館の宿泊に結びつかないと意味がない。日帰りや車中泊になると、温泉街にとってはダメージになる」と指摘。

岡本さんは、長門湯本で「サ旅」を実現することができるのか――。

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