マツダは現在、ジャパンモビリティショー2023で世界初公開したロータリーEV搭載のコンセプトカー「アイコニックSP」の実車を広島本社ショールームに展示中。この夢のスポーツカーは今後、オートモビルカウンシル2024でも展示されることがアナウンスされています。

マツダの思いを形にしたロータリー搭載のスポーツカー

 マツダは2024年3月13日より、広島本社のショールームにジャパンモビリティショー2023で世界初公開したロータリーEV搭載のコンセプトカー「MAZDA ICONIC SP(マツダ アイコニック エスピー)」の実車を展示中。

 この夢のスポーツカーは、同年4月12〜14日に幕張メッセで開催されるオートモビルカウンシル2024でも展示されることが決定しています。

「アイコニックSP」は、時代が変わっても、その時代に適合したソリューションで「クルマっていいよね、楽しいよね」ということを提供し続けていくんだ、というマツダの思いを、コンパクトスポーツカーという形にまとめたコンセプトカーです。

 ジャパンモビリティショー2023で世界初公開された“ヴィオラ・レッド”に塗られた「アイコニックSP」は、左右のドアに特徴的な“シザーズドア”を採用。スーパーカーのような斬新なルックスで多くの人から注目を集めています。

 見た目から走りのよさを予感させる低重心で美しいプロポーションは、コンパクトでレイアウトの自由度が高い2ローター・ロータリーEVシステムによって実現したもの。

 ボディサイズは全長4180mm、全幅1850mm、全高1150mm、ホイールベース2590mmで、軽量かつコンパクトなロータリーエンジンをクルマの中央部に寄せて搭載することで、ボンネットフードが極端に低い斬新なルックスを想定しています。

「アイコニックSP」は、2ローター・ロータリーEVシステムによる高出力と低重心のプロポーション、さらに50:50の前後重量配分などにより、優れた運動性能を実現するといわれています。

 駆動力を生み出すバッテリーは、再生可能エネルギー由来の電力で充電することにより、実質的にカーボンニュートラルでの走行が可能に。

 また、水素を始めとする多彩な燃料を燃やせるロータリーエンジンの優れた拡張性を活かし、2ローター・ロータリーEVシステムはカーボンニュートラル燃料での発電も想定しているといいます。

 これにより「アイコニックSP」は、普段はモーターとバッテリーで駆動するEV(電気自動車)として走行する一方、外出先などではロータリーエンジンによる発電で航続距離を気にすることなくドライブを楽しめます。

 さらにラゲッジスペースには、ふたり分のキャリーバッグを積載できるだけのラゲッジスペースを確保。必要にして十分な実用性を確保し、小旅行なども気軽に楽しめるモデルになるといわれています。

 スポーツカーだけに気になるのはそのパフォーマンス。マツダによると「アイコニックSP」はシステム出力370ps、車両重量1450kg、パワーウエイトレシオ3.9kgを想定しており、マツダの代表取締役社長兼CEOを務める毛籠勝弘氏は「ポルシェ『911』相当のパフォーマンスを秘めている」と公言しています。

●ロータリー開発グループの立ち上げで市販化へ前進!?

 カーボンニュートラル時代においても、人々をワクワクさせる夢のコンパクトスポーツカーを提案したいと、「アイコニックSP」の市販化に意欲を見せているマツダ。

 2024年2月1日には、マツダ社内にロータリーエンジン開発グループを開設。カーボンニュートラル時代に向けての課題をブレークスルーすべく、エンジン方式の垣根を超えた広い技術視座と最先端の内燃機関技術を習得し、モデルベース開発の使い手としての鍛錬を経たロータリーエンジンの技術者たちが再結集しています。

 毛籠氏が「そう甘くはないですが、飽くなき挑戦の新しいチャプターへ一歩進めれば、と思っています」と語るように、世界中の自動車メーカーでマツダしか実用化できていない2ローター・ロータリーエンジンの開発推進は、決して安易ではないと推測されます。

 しかし、「アイコニックSP」に対して寄せられた多くの賛同や激励に背中を押されたマツダは、市販化の夢へ向けてロータリーエンジンの開発を推進していくということです。

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「ロードスター」や「RX-7」といったスポーツカーを量産してきたマツダだけに、新時代のパワートレインを搭載した「アイコニックSP」誕生にも期待がふくらみます。

 その美しい姿が気になるなら、現在、展示されているマツダの広島本社ショールーム(展示期間は未定)、またはオートモビルカウンシル2024において、新時代のコンパクトスポーツカーの勇姿をチェックしておきたいところです。