アウディの「S3スポーツバック」および「S3セダン」が欧州でマイナーチェンジ、改良新型が世界初公開されました。よりパワーアップされた高性能コンパクトモデルはどのように進化したのでしょうか。

2.0TFSIエンジンは23馬力・20Nmアップの333馬力・420Nm

 独アウディAGは2024年4月8日、アウディ新型「S3」を世界初公開しました。

 S3は、アウディのコンパクトハッチバックおよびセダンの「A3」をベースにしたスポーツモデルです。

 A3シリーズは世界最大のマーケットであるコンパクトセグメントにおいて人気のモデルで、初代は1996年に登場。VWグループの「ゴルフ」とプラットフォームを共有するモデルとなっています。

 現行型は2020年に登場した4代目で、日本では2021年5月に登場しています。同時に現行型「S3」もセダン/スポーツバックともに発表されています。

 今回登場した新型S3は、このマイナーチェンジモデルです。

 改良新型S3はセダン/スポーツバックともに外観デザインを変更。さらにスポーティで引き締まったエクステリアになっています。
 
 六角形のフレームレスシングルフレームは、よりフラットで幅広にデザインされ、大きく角張ったサイドインテークとともにダイナミックなキャラクターとなっています。

 またLEDライトにはデイタイムランニングライトを構成する24ピクセルがハウジングの上端に3列に配置されています。これをA3シリーズとして初めて、MMIで最大4つのパターンに切り替えることが可能となりました。

 インテリアはシフターのデザインやエアコン吹出口、ファブリックのインレイまで大幅に変更されています。

 従来のS3は310馬力・400Nmを発生する2リッター直列4気筒ターボエンジン「2.0TFSI」を搭載していますが、改良新型S3は23馬力・20Nmアップの333馬力・420Nmを発生。

 組み合わされるトランスミッションは7速Sトロニックで、より高い始動トルクによりさらに素早い加速が可能になっています。

 またアウディのクワトロ(全輪駆動)を搭載。スポーツモデル「RS3」にも使用されるトルクスプリッターを搭載することで安定性が向上しています。この技術により、後輪間でアクティブで完全可変のトルク配分が可能になります。

 トルクスプリッターは、各ドライブ シャフトに電子制御の多板クラッチを使用し、運転状況と選択されたアウディドライブセレクトモードに応じて、カーブの内側と外側の後輪の間でトルクを最適に分配します。

 これらにより、0−100km/h加速は4.7秒、最高速度は250km/h(リミッター)というパフォーマンスを発揮します。

アウディドライブセレクトに「ダイナミックプラス」モードを追加

 アウディドライブセレクトは、従来の「オート」「コンフォート」「ダイナミック」「インディビジュアル」「エフィシェンシー」に加え、新たに「ダイナミックプラス」モードを搭載。

欧州で発表された改良新型「S3スポーツバック」のインテリア

 その名のとおりダイナミックな走りが可能で、エンジンとトランスミッションもそのモード専用にチューニングされています。アイドリング時の回転数は200rpm増加の1300rpmとなり、スロットルレスポンスもよりダイレクトになります。

 新型S3には「プログレッシブステアリング」を標準装備。これはターンインするとレスポンスがよりダイレクトになるもので、ステアリングフィールの向上を図るために特性を調整しているといいます。

 ブレーキも強化されています。新型S3では直径357mmサイズのブレーキディスクを採用、厚さも34mmと従来より4mm厚くなっています。キャリパーもツインピストンブレーキキャリパーを採用し、ブレーキ性能をさらに向上させています。

 サスペンションには剛性の高いベアリングと新しいピボットベアリングを備えたウィッシュボーンにより、よりネガティブキャンバーとなり、ステアリング応答性が向上しています。さらに横方向のコントロール性も向上、これによりコーナーでのグリップやダイナミック性能が向上しています。

 さらにSスポーツサスペンションを標準装備し、A3と比較してボディ高は15mm抑えられています。

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 アウディ改良新型S3スポーツバック、およびS3セダンは、2024年5月に欧州市場で登場する予定です。