外国人「直前で一斉に売っていた」歴史的暴落の裏側で
日経平均株価の急落、そして直後の急騰。
投資家の間では狼狽が広まっているが、一部の経験豊富な投資家は7月に保有株式を売却して利益を確定させていたという声も…。
先週金曜(2日)の終値が1987年10月20日のブラックマンデーに次ぐ歴代2番目に大きい下げ幅となった日経平均株価。(前日比2216円63銭安の3万5909円70銭)
週明け月曜(5日)も下げ止まらず、ブラックマンデーを上回る過去最大の下げ幅を記録。(前週末比4451円28銭安の3万1458円42銭)
だが、その翌日6日は急反発、終値は過去最大の上げ幅。
(前日比3217円04銭(10.2%)高の3万4675円46銭)
今年に入り日経平均株価は乱高下している。
ゴールドマン・サックス、ドイツ証券などの大手金融機関でプロップトレーダー(自己勘定トレーダー)を歴任し、現在もトレーダーとして活動する志摩力男氏はいう。
「下落の要因は大きくは2つ。一つは日銀の利上げ、もう一つは米国の景気後退懸念の高まりです」
「資産運用として投資を行う際には、レバレッジをかけるような取引はご法度です。株価下落時は株価が割安になって魅力的な買い場となりますが、信用取引をしていたせいで『追い証』を求められ株を売らなければならなくなるというのは、投資の原則に反しています」
(「レバジッジをかける」とは、簡単に言うと「借り入れ等をして元手となる保証金以上の金額を取引すること」)
「7月の第3週の外国人投資家の日本の現物株と先物合計の売買は8110億円の売り越し、第4週は1兆5674億円の売り越しとなっており、かなり売っていました。その意味では、外国人は暴落の前に売っていたということになります」
混乱が広がるなか、一部の投資家は株価急落を見越して7月時点で保有株式を売却して利益を確定させていたというのだ。
「外国人が売っていた理由は、米国経済減速の兆候が顕著になり、AI関連株の動きも怪しくなり始めたことでした」
「もともと外国人投資家の間では、日本企業の成長期待は低いにもかかわらず株価が割高すぎるという懐疑的な見方もあったなか、
・著名投資家のウォーレン・バフェット氏が日本株は割安だと推奨し始めた“バフェット効果”
・東京証券取引所がPBR(株価純資産倍率)が1倍を下回る上場企業に対して株価水準引き上げの具体策の開示を求めた東証改革
・AIブーム
この3点セットが同時に崩れたことが、株価暴落の要因だと考えられます」
6日には急反発した株価は、このまま再び上昇トレンドを描くのだろうか。
メガバンク系ファンドマネージャーはいう。
「読めない部分が多いのでなんともいえないが、米国の景気減速懸念はいまだに強く、それが重しになってくるので、再び日経平均株価が過去最高を更新するような水準まで、すぐに戻るという可能性は低いのでは」
以上、Business Journalからお届けしました。
編集者:いまトピ編集部