アルファード、悪夢再来か
Amazon トヨタ自動車の人気車種「アルファード」と「ランドクルーザー」。
いずれも納期が1年を超えた“伝説の品薄車”だ。
2021〜22年にかけての世界的な半導体不足の影響で、自動車生産ラインが一時停止。ユーザーは数カ月から1年の納車待ちを強いられた。
そして今、再びその「悪夢」がよみがえろうとしている。
2025年秋、中国政府が突如として打ち出したのが、半導体メーカー「ネクスペリア(Nexperia)」製品の国外輸出制限。
ネクスペリアは、自動車向けアナログ半導体やパワートランジスタなどを数多く生産し、世界の自動車生産ラインの“縁の下の力持ち”として知られているが、実質的には中国資本が支配している。
欧州の自動車メーカーでは、すでにこの輸出規制の影響が表面化。
ドイツのフォルクスワーゲン(VW)は、一部車種の生産停止を発表。日本でも大手自動車メーカーが「一部車載用半導体の入手に支障が出ている」と報告。現時点では生産停止には至っていないが、供給リスクは現実化しつつある。
車載用半導体の供給構造をみると、国内調達だけでは到底賄いきれないのが実情だ。
特にネクスペリア製品は、トヨタ・日産・ホンダの主要サプライチェーンにも広く使われているとされ、輸出制限の影響が長期化すれば、「2021年の半導体危機」の再来もあり得る。
自動車アナリスト荻野博文氏は指摘する。
「車載用半導体は汎用品ではなく、車種や機能に合わせてカスタマイズされている。一度調達先を変えるには設計変更と認証試験が必要で、最短でも半年はかかる。“代替調達”は口で言うほど簡単ではない」
市場ではすでに、人気車種の納期が再び延び始めている。特にトヨタの高級ミニバン「アルファード」とSUVの「ランドクルーザー」は、国内外で爆発的な人気を維持しており、受注が生産能力を上回る状況が続く。
「前回の半導体危機時には、転売目的での“投機的注文”も殺到。ランドクルーザー300は一時、納期4年待ち・中古価格が新車の1.5倍という異常事態を引き起こした」
「トヨタは今回、こうした混乱を防ぐために『受注制限』『グレード限定受注』などの対策を講じているが、部品供給が滞れば、いずれ同様の事態が起こりかねない」
今回の問題は、単なる一時的な供給トラブルにとどまらない。むしろ、日本の自動車産業が直面する「中国依存の構造的リスク」を浮き彫りにしている。
「われわれが本当に確保すべきは“数”ではなく“安定供給”。そのためには国内外のパートナーとどう分散するかがカギになる」
半導体不足は、もはや一過性の危機ではないのだ。
「納期1年待ち」というニュースは、単なる流通トラブルではない。それは、世界のモノづくりが“再構築”を迫られているサインであり、自動車という巨大産業が「安全保障」と「サプライチェーンの主権」を取り戻す闘いの始まりでもある。
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編集者:いまトピ編集部
