2025/4/7 20:35

保育園「連絡帳のデジタル化がすぐにはできない事情」

子供

日常生活や仕事において、ペーパーレス化やデジタル化の推進といったことが急激に進んでいますよね。そんな中でも、保育園は未だにアナログ文化がはびこっており、他業界から見ると「デジタル化やDX(デジタルトランスフォーメーション)化が遅れている」といわれています。そして、保護者たちからは利便性や時代ニーズの観点から「連絡帳をデジタル化して欲しい」との要望が各所で挙がっているのだとか。

 保育園を運営する社会福祉法人みなみ福祉会理事長の近藤敏矢さんは、著書『ここが変だよ、保育園』(幻冬舎刊)の中で「手書きによる連絡帳の記入は保育士の業務負荷をより高めている」と述べています。とはいっても、「より気持ちが伝わるから」などの理由で保育士は休憩時間を削ってでも手書きをしています。結果、「子どものために……」を第一にしているはずなのに、行きつく先として子どもを見る時間の削減という現象が起きているのが現実なんだとか。

 ところで、保護者の立場として連絡帳のデジタル化の要望を園に出してもよいものなのでしょうか。近藤さんは「保護者の方が声を上げていただくことは非常に大切です。互いに楽になる手段は積極的に取り入れるべきです。保育園が税金等の公的資金で運営されていることを意識し、無駄に使われないよう、業務に無駄がないことを確認する視点を持っていただきたいですね。保育士は日々の業務に忙殺され、本質を見失うこともありますから、気付きのためにも声を挙げていただきたいところです」と話します。

 ところが、保育園は容易にデジタルに切り替えられないという事情もあるようです。

「スマホ等での連絡帳のデジタル化を取り入れる場合、園は在園児の家庭がすべて対応できるか、将来入園予定の家庭に対して障壁とならないかなどに配慮する責務があります。また、子どもに関わることをデジタル化で効率化せずに、従前の手書きによる温かみに大きな価値を感じている保護者の方もいらっしゃいます。その価値観を否定することは非常に難しいですね」(近藤さん)

 DXの遅れが指摘される保育業界において、推進を強化すべきとの見方もありますが、注意点もあるようです。「今後、保育士は減少し続けますから、その解決のためにもDXは必要ですが、あくまで大人の大人による大人のためのもので、子どもへの直接的なメリットを高めません。ですから、DXは園の本来の目的を達成する手段にすぎないととらえ、子どもに関わらない業務の改善策の検討が必要です」と近藤さん。

 我が子が通う保育園の連絡帳のデジタル化を希望する一方で、一筋縄ではいかない園の事情もあることは知っておきたいもの。一方で、公的資金が無駄に使われるのを見過ごすことは避けたいものです。今後、双方が事情を理解し合いながら、率直に意見を伝え合えればいいですねと、アサジョは報じた。

時代に逆行!?保育園の連絡帳のデジタル化がすぐにはできない事情とは? – アサジョ時代に逆行!?保育園の連絡帳のデジタル化がすぐにはできない事情とは? – アサジョ

編集者:いまトピ編集部