2025/7/24 09:40

『大手小売り企業』5489億円収益、10カ国以上に1200店舗以上展開...なぜベトナムで「計300店舗規模の目標」

喜び

・イオンがベトナムで出店攻勢、GMS大型店の売上は、日本の平均的店舗よりも高い販売力
・来店するお客の数が非常に多いのが、ベトナムにおける大型店の特徴
・2030年の店舗規模の目安として、GMS/SSMを100店舗、SMを200店舗という目標

 大手小売り企業・イオンがベトナムで出店攻勢をかけている。すでに20拠点以上を擁する中国に加え、ベトナム、インドネシア、カンボジアなどアジアに展開するイオンモールをはじめ、イオングループの海外事業は一定の規模を誇る。イオングループの2024年度の国際事業の営業収益は5489億円、全営業収益に占める比率は5.4%。海外店舗としては世界10カ国以上に1200店舗以上を展開する。そんな同社がなぜ今、ベトナムで出店攻勢をかけているのか。そして今後のアジアを含めた海外事業の成長戦略をどう描いているのか。イオンベトナムに取材した。


イオンがベトナムで展開しているのは、ショッピングセンター、GMS(総合スーパー)、GMSと食品スーパーの中間にあたる業界・スーパー・スーパーマーケット(SSM)、スーパー(SM)、コンビニエンスストア、専門店。出店を加速している理由について、イオンベトナムは次のように説明する。

「イオンは一貫して、生活者の幸福な暮らしと地域社会の発展への貢献を企業の中核的な目的として、企業活動を行っております。ベトナムにおいては経済発展に伴い国民が中間層へと成長するなか、より豊かな暮らしの実現が強く求められています。一方、まだまだウェットマーケットや個人商店などの伝統小売業の構成が6~7割と高い市場でもあります。ウェットマーケットでは食の安全安心に不安を感じられている生活者も多く、個人商店では、多様な品揃えから選択できる楽しみ、時間消費的なお買い物の楽しみなど、発展する中間層が希求されているショッピングを通じた豊かな暮らしの実現が困難な状況です。

『生活者の幸福な暮らし』の実現を通じて『地域社会の発展』に貢献することを企業の目的としている我々は、いち早くこの課題に着目し、2008年よりベトナム市場参画のプロジェクトを立ち上げ、14年にホーチミンに1号店(タンフー・セラドン)を開店いたしました。翌年にはハノイにも出店、現在ではイオングループとしてショッピングセンター7店舗、GMS/SSM13店舗、SM37店舗、コンビニエンスストア182店舗、専門店24店舗を展開しています。また、エンターテイメントや金融サービスにおいても事業展開を行っており、ベトナムの生活者の生活全般の『豊かさ』の実現をグループの総合力により追求する体制を講じております」

ベトナムでは現地で「パパママストア」と呼ばれる小規模な個人経営の小売店が主流だが、大手資本によるスーパーやコンビニエンスストアが増えつつある。イオンがベトナムで展開している店舗は、どのような特徴・タイプの店舗なのか。日本のイオン店舗とは異なるのか。

「我々のGMS大型店の売上は、日本の平均的店舗よりも高い販売力を有しています。つまり、来店されるお客さまの数が非常に多いのが、ベトナムにおける大型店の特徴です。これはイオンの提供する価値が伝統的小売業のみならず、近代小売業の競合と比べても差別化されているからだと考えます。例えば『デリカ』は食品売上の2割を超える売上構成比を実現していますが、日本の食品小売と比べると2倍の水準です。レストランのような高品質の独自商品をお求めやすくご提供させていただいていることが、イオン固有の付加価値となり、ベトナムにおける新しい食市場の創造につながっているものと考えます。

 また、イオンのプライベートブランド『トップバリュ』の取り組みも進めています。日本からの輸入だけではなく、ベトナム国内や他のアセアン諸国での商品開発をベトナムのチームで行っており、イオンが保証する安全安心かつ高品質のPBを、お求めやすくご提供する体制を構築しています。このような独自開発商品については、GMS/SSMのような大型店のみならず、SM、コンビニエンスストアへも供給を行っており、マルチフォーマットによる多様な立地ニーズへの適合と、グループ共通での商品開発と供給による規模のメリットの追求を両立させる、グループの総合力による新たな成長モデルの構築に取り組んでおります」(イオンベトナム)

イオンは今後、ベトナムおよび海外でのさらなる成長を描いている。

「中間層の発展により、ベトナムの小売市場は2030年までに現状の2倍程度に成長すると予想されています。また、伝統的小売業からモダントレードへのシフトも進むことで、モダントレード市場はさらなる成長スピードで拡大するものと思われます。このような成長市場に対し、ベトナム資本の小売業に加えて、アジア発のグローバル・リテーラーも強い関心を示し、成長競争が過熱しております。

 この成長市場において、イオンがイニシアチブを取れるポジションであるためには、少なくとも現状の5~6倍の事業規模に成長する必要があると考えています。このような認識から2030年の店舗規模の目安として、GMS/SSMを100店舗、SMを200店舗という目標感を持っておりますが、業態別の出店目標については2026年からスタートする中期経営計画の中で精緻化させていただきたいと考えております」(イオンベトナム)

と、ビジネスジャーナルが報じた。

イオン、なぜベトナムで出店攻勢?計300店舗規模へ…一店舗当たり販売力は日本のGMSを上回る | ビジネスジャーナルイオン、なぜベトナムで出店攻勢?計300店舗規模へ…一店舗当たり販売力は日本のGMSを上回る | ビジネスジャーナル

編集者:いまトピ編集部