2025/7/27 12:40

ジャングリア沖縄、総事業費を約700億円「開発のハードルが低い」

ジャングリア沖縄Amazon

国内での大型テーマパークの開業は、2022年に愛知県に開業した「ジブリパーク」以来、3年ぶり。22のアトラクションやショー、レストラン、ショップなどを擁し、目玉アトラクションである「ダイナソーサファリ」やジップライン、バンジージャンプに象徴されるとおり、大自然との一体化が志向されており、その点は東京ディズニーリゾートやUSJなどと大きく異なる。両テーマパークとの違いとしては、現時点では隣接するホテルなどの宿泊施設がなく、提携のホテルまで車で30分程度かかる点がネックとされる。

運営元のジャパンエンターテイメントは2018年に設立され、開業に向けて7年もの歳月をかけて準備を進めてきたが、その筆頭株主でテーマパークの企画を担うのが刀だ。刀の代表取締役CEOであり、USJ復活の立役者として知られている有名マーケター・森岡毅氏が企画を指揮。1月に開かれたジャングリア沖縄の記者会見には石破茂首相も出席するなど、国からも大きな期待を寄せられている様子がうかがえる。

 ゴルフ場跡地である広大な敷地の形状を活かすことで、総事業費を約700億円に抑えた。沖縄本島北部は、観光客が多い那覇市を含む中南部からは離れているが、非都市型で総事業費1000億円のテーマパークはアジア圏で開発のハードルが低いとみて、運営元はジャングリア沖縄で確立した成功モデルをアジアなどに輸出する構想を抱いている。

「もともとゴルフ場だったところをテーマパークに生まれ変わらせる跡地の活用はジャングリア沖縄だけではなく、海外へ展開できるビジネスのチャンスを視野に入れています。まずは今回のパークを成功させる(第1フェーズ)、ゴルフ場跡地全体の敷地面積は120haで、今回はそのうちの60haを活用しており、次は残りの半分を活用する(第2フェーズ)。第3フェーズとしての海外展開を視野に入れている。そこからも逆算して価格設定をしています。体験価値に応じての価格設定です。今後投資をどんどんしていきます。現在活用する60haの土地にもフューチャーエリアといわれる新しく建設できるエリアを設けています。残りの60haもパーク自体を活用するという案もあり、体験価値に応じて価格が変動する可能性はあります」(ジャパンエンターテイメント/3月4日付当サイト記事より)

二重価格制は海外では珍しくない
 そのほかに異例とされるのが、二重価格を導入している点だ。チケット料金(12歳以上)は国内在住者は6930円、国外在住者は8800円と異なる価格が設定されている。その理由について運営元は次のように説明する。

「二重価格制については海外での観光施設では見られることですが、さまざまな議論を呼ぶ可能性は認識していました。市場調査、需要予測を行ったうえで、弊社が提供する体験価値に基づいて価格設定を試みました。世界的に見ると、たとえば、米国カリフォルニアのディズニーランドは、為替変動もありますが1万9000円前後。香港ディズニーランドは1万6000円前後であります。国内的には、多くの方が思っている価格よりも高い価格設定かもしれませんが、記者会見後、国際的にはリゾートとしては割安という声をいただくこともあります。我々も海外のお客様に満足いただけるように、言語対応プラスアルファで、体験価値をしっかり作りこんでいきます。国内在住者に対しては日本、沖縄の持つ観光の価値、ジャングリアの体験価値を認知していただく。積極的に体験し、発信もしていただきたいという考えもあってより利用しやすい、体験しやすい価格に設定させていただきました」(ジャパンエンターテイメント/3月4日付当サイト記事より)

全く新しいカテゴリーのテーマパーク
 将来的には年間来場者数300万人を見込むジャングリア沖縄の成長性について、テーマパーク経営に詳しい桜美林大学教授の山口有次氏はいう。

「ディズニーリゾートやUSJのような大規模テーマパークと自然公園を組み合わせた、これまで日本にはなかった全く新しいカテゴリーのテーマパークといえます。樹木や植栽がふんだんに使われ、“箱型”のアトラクションは少なく、ゲストが体を動かして楽しむアクティビティ型のアトラクションがメインである点も特徴です。これによって事業費を低く抑えられるので、進出先の国・地域によって違った形態のテーマパークにローカライズしていく必要はあるものの、モデルとして輸出しやすい面はあるかもしれません」

 課題もあるという。

「テーマパークに限らずレジャー施設というのは、何度も訪問する客をいかに獲得できるのかがカギとなってきますが、ジャングリア沖縄がそのようなリピーターを確保できるのか。また、テーマパークはいかに地元の住民に支持されるのかが、その成否を大きく左右しますが、ジャングリア沖縄は現段階では地元のニーズと乖離しており、地元住民の吸引を想定していないようにみえるので、その点が課題になってくるかもしれません」(山口氏)
と、ビジネスジャーナルは報じた。

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編集者:いまトピ編集部