前半は満足のいくプレーができたものの、後半で崩れてしまったが故に「ベストを更新できなかった…」という経験があるゴルファーも多いかもしれません。後半になってスコアを崩れてしまう現象はなぜ起きるのでしょうか。

後半のスタート前にはストレッチやパッティング練習を

 前半はものすごく調子が良かったのに「午後になってなぜかショットが乱れ始めた…」と後半にスコアを崩してしまうプレーヤーも少なくありません。

 できることなら前半の調子を維持して、最後まで自分の実力を最大限発揮したいところですが、なぜ後半にスコアを崩すケースが見受けられるのでしょうか。自身が運営するWEBサイト「プロだけが知っているゴルフ上達への道」でゴルフ知識を紹介している、レッスンプロの川端いっせい氏に話を聞きました。

お昼休憩が終わった後にも練習をする人は少数派? 写真:AC
お昼休憩が終わった後にも練習をする人は少数派? 写真:AC

「後半にスコアを崩してしまう人のパターンの一つとして、『不必要な素振りが多い』ことが挙げられます。無意識にやっている方も多いですが、ラウンド中に何度も繰り返していると、知らず知らずのうちに体に大きな負担がかかってしまうものです」

「また、体力だけでなくメンタルが疲弊してしまうことによってスコアが崩れだすパターンも少なくありません。具体的には、1〜1.5メートルのショートパットが挙げられるでしょう」

「このくらいの距離ならば絶対に入れたいと思うものですが、決して簡単なパットではないのでかなりの集中力を要します。このような状況が多ければ多いほど、後半になるにつれて集中力を欠いてしまいスコアを崩してしまうことも考えられます」

 後半でスコアを崩してしまうことが多いゴルファーに向けて川端氏は「スループレーの経験を積むべき」と言い、次のように語ります。

「ゴルファーの中には昼休憩のランチを楽しみにしている方も多いですが、ラウンドのペース配分をつかむために何度かスループレーを試してみるのもいいでしょう。通常のラウンドでは昼休憩があるからといって前半のうちに体力や集中力を使い過ぎてしまい、結果的に後半にバテてしまう傾向にあるのです」

「逆に初めからスループレーと分かっていれば、余計な体力や集中力を使わずにもっとシンプルに打とうという気持ちにもなるため、最後まで力を出しきれるようになると思います」

 さらに川端氏は、昼休憩を取る場合は後半のスタート前にストレッチやパッティング練習を行うことを推奨しています。

「昼休憩では仲間との談笑を楽しんでいる方も多くみられます。もちろんそれもゴルフの楽しみではありますが、昼休憩で1時間近くも座っていると体が硬くなってしまうでしょう。このことが前半と同じようなショットを打てなくなる原因にもなり得るので、ストレッチをして体をほぐしておくことも大切です」

「また、前半を終えて昼休憩を挟んだ場合、パッティングの感覚が分からなくなってしまうことがあります。その感覚を取り戻すためにも、後半のスタート前にパッティング練習をすることが有効でしょう」

打数も多いビギナーは後半にスコアが落ちて当たり前

ビギナーにとっては18ホールを回るだけでも大変なこと 写真:AC
ビギナーにとっては18ホールを回るだけでも大変なこと 写真:AC

 とはいえ、ラウンドに不慣れなビギナーの場合は、後半のことまで考える余裕もないはず。川端氏も「ビギナーは目の前のプレーに必死なので、後半にバテてスコアが崩れてしまうのは当たり前です」と言い、次のように話を続けます。

「ラウンド経験が浅いうちは『後半は体力が持たずスコアが落ちるもの』と割り切っておいたほうがいいでしょう。ビギナーは当然打数も増えますし、そのぶん体力と集中力を要するので疲弊するのは当たり前です」

「それでも最後まで真剣にプレーをすれば、『体力』や『精神力』が鍛えられるはずです。そのため、どんなにスコアが悪くてもラウンドそのものが大きな経験になるため、自分のやってきた練習を信じてプレーを続けてください」

 1ラウンドのプレー時間は混雑している週末や休日であれば5時間ほどかかることも珍しくないので、ラウンド中は自分の想像以上に体力やメンタルを消耗しています。ビギナーであればなおさらラウンド中のペース配分は難しいですし、お昼休憩を挟めばショットやパッティングの感覚が鈍ってしまうのも無理はありません。

 後半にスコアを崩すことが多いゴルファーは、ラウンド中の自身の姿を振り返り、原因になり得ることがないか、今一度思い返してみてはいかがでしょうか。

LUIS FIELD