石川県は26日、ツキノワグマによる被害が増える恐れがあるとして、「出没警戒準備情報」を発令する。餌となるブナの実の豊凶予測調査で「凶作」の予想が出たためで、「事前警報」は2022年以来となる。ブナが並作だった昨年も5人がクマ被害に遭っており、県は各市町と住民に早めの対策を呼び掛ける。

 事前警報は、26日に市町や県警、県猟友会と開く「出没対応連絡会議」で出す。市町に対しては、わなによる捕獲やクマの隠れ場所となるやぶの刈り払い、雑木の伐採を要請する。

 県は4月、ブナの実の豊凶状況を知るため、ドローンや目視で開花状況を調査した。金沢、白山、小松、加賀の4市10地点全てで凶作傾向がみられたため、クマが例年より多く出没する恐れがあると判断した。

 県内ではブナが大凶作だった2020年、クマの目撃件数が869件、人身被害が15人となり、いずれも過去最多だった。

 県自然環境課の担当者は「この時期のクマは若く、好奇心が強い。音を出すものを持つなど十分注意してほしい」と話した。今年の目撃件数は18日時点で4件となっている。