能登半島地震で被害を受けた伝統工芸「輪島塗」

職人の作業場やギャラリー、宿泊施設など様々な機能を備えた交流拠点が1日、輪島市にオープンしました。

漆に掘った細かな模様に金紛を埋め込み、色付けをする「沈金」。
職人の前田安孝さんが制作をしているのは、ガラス張りのトレーラーハウスの中です。

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沈金職人・前田安孝さん
「見る方は楽しいんじゃないですか。やる方はちょっと恥ずかしいんですけど。沈金の美しさとか繊細さを分かってもらえたらうれしい」

輪島塗の老舗・田谷漆器店の駐車場に設置されたトレーラーハウス。

「輪島未来工房miraーco.」と名付けられ、職人の作業場や輪島塗の作品展示、宿泊などができる多くの機能をもつ施設としてきのうオープンしました。

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田谷漆器店代表・田谷昴大さん
「輪島塗の職人も市外にいる人が多いので、ここで作業したりデスクワーク、宿泊もできるような場所になっていて、輪島の人や外からくる人々の接点を増やすような場になればいいなと思っている」

当初、この施設は輪島塗の仮設工房にする予定でしたが、国が仮設工房を設置することになり、誰もが様々な目的で使える交流施設に変更しました。

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この日訪れたのは輪島朝市の大規模火災で店を失った親子。
こちらのトレーラーで自家製の塩辛の無人販売を行います。

南谷良枝商店・南谷良枝さん
「私たちは売り場を失っているので輪島の食文化というか、イカの麹漬けというのはうちのばあちゃんの代からずっと受け継がれてきた塩辛。ご提供できる場所ができてすごくありがたい」

田谷漆器店代表・田谷昴大さん
「復興のフェーズってまだ見えないのでそこで何が必要とされているかというところで臨機応変に対応して形を変えていくのが大事だと思っている」

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トレーラーハウスの設置を支援したのは、大阪市で地域新聞の編集長を務める吉村大作さん。きっかけはいち早く再建への思いを表明した田谷さんの姿をテレビで見たことでした。

吉村大作さん
「輪島塗を必ず再建させると強いメッセージを発していて、そこに生命力の強さを感じて是非この人たちを応援したいと。ライフラインが整備された後は産業とかそういった所が生活の基盤になるので、産業を支援することで輪島全体のことを応援できるんじゃないかなと始めた」

吉村さんが中心となって全国から寄付を集め、誕生した交流拠点。人と人とをつなぎ、なりわいを支える復興の拠点となることが期待されています。

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吉村大作さん
「支援が独りよがりにならない様に現地の方の声を聞いて、現地の方が欲しいといったものが提供できて良かった」

田谷漆器店代表・田谷昴大さん
「ちょっと先の未来がここに詰まっているような気がしていて、僕はとてもワクワクしてますし、みんな未来を向いてそれぞれの形で進んでいくとそれが集合して復興がより早くなっていくと思う。僕らもその一つの形がこれかなと思っている」