4月7日、2024年F1第4戦日本GPの決勝レースが三重県の鈴鹿サーキットで行われ、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が今季3勝目、自身通算57勝目をポール・トゥ・ウインで飾った。

 2位にセルジオ・ペレス(レッドブル)、3位にカルロス・サインツ(フェラーリ)が続き、三度目の日本GPを迎えた角田裕毅(RB)は10位でチェッカーを受け、母国での初入賞を果たした。

 1987年の初開催から今回で34回目となる鈴鹿サーキットでのF1日本GP。2023年まで長らくシーズン終盤の秋開催が続いたが、2024年は史上初めて、シーズン序盤の春開催となった。

 スタートタイヤは上位11グリッド中、5番グリッドのフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)を除く10台がミディアム(C2)をチョイス。アロンソを含む8台がソフト(C3)を選択した。

 満開の桜、そして眩しい太陽が照りつける晴天のもと、気温22度、路面温度40度というコンディションで53周の決勝レースはスタートを迎えた。

 フェルスタッペンを先頭に、上位勢は順位をキープしてターン1を通過。一方、10番手スタートの角田はソフトタイヤを履くニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)、バルテリ・ボッタス(キック・ザウバー)に先行を許し、12番手に後退する。

 さらに後続では波乱が巻き起こる。S字コーナーのひとつめのターン3で14番手スタートのアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)と、スタートで出遅れたダニエル・リカルド(RB)がクラッシュ。2台のドライバーは自力でマシンを降りたが、このクラッシュにより、オープニングラップで赤旗導入となる。

 なお、この赤旗の間に、メルセデス勢、アルピーヌ勢、ローガン・サージェント(ウイリアムズ)がハード(C1)に、角田はソフトに履き替えた。

 約30分の中断を経て、14時32分にレースは赤旗導入時点の順位から、3周目にスタンディングスタートで再開。角田はハード勢のジョージ・ラッセル(メルセデス)、エステバン・オコン(アルピーヌ)、そしてボッタスを攻略し9番手に浮上する。

 ただ、やはりメルセデスのマシンは速く、角田は5周目のターン1でラッセルに先行を許し10番手に後退する。想定より高い気温だけに、ソフトタイヤのアドバンテージは発揮されない状況か。

 トップのフェルスタッペン、2番手ペレスは3番手ノリス以下を着々と引き離す。そんななか、ソフトタイヤのヒュルケンベルグが6周目、ボッタスが7周目と早々にハードに交換。

 その動きに呼応し、8周目には角田、周冠宇(キック・ザウバー)もハードに交換するが、角田はここでボッタスにアンダーカットされるかたちに。

 11周目、ミディアムスタートの上位勢で真っ先に3番手ノリスがハードタイヤに交換。一方、2番手ペレス、3番手サインツは15周目に、そしてトップのフェルスタッペンは16周目にミディアムからミディアムに交換する。

 角田はハードタイヤに履き替えて以降のペースがよく、前方のボッタス同様にアルピーヌ勢を攻略する走りで、18周目には13番手までポジションを回復する。

 19周目にはハードタイヤのサージェントに仕掛けるが、サージェントも角田と同じ1分39秒台のペースで周回を続けており、DRSを用いてもなかなかオーバーテイクには至らない。そうしている間に20周目にはランス・ストロール(アストンマーティン)が角田の背後に接近。

 22周目、マグヌッセン、ボッタス、サージェント、角田、ストロールと後続の5台が一挙にピットへ。このピットストップ勝負で最も速かったのがRBだった。

 これで角田はマグヌッセン、ボッタス、サージェントの3台を一気に先行するかたちとなり11番手に。なお、5台ともにハードタイヤに交換している。

 26周目、ミディアムタイヤで引っ張るルクレールがデグナーふたつめでオーバーラン。ルクレールの背後にノリスが接近するが、2台はこの周の終わりにピットイン。ノリスは一時ラッセルにアンダーカットされるかたちとなったが、28周目のターン1でノリスが再度ラッセルを先行する。

 角田は34周目の逆バンクでヒュルケンベルグを攻略。スタート位置かつ、1ポイント獲得圏内に自力で浮上した。

 レッドブルは33周目にペレス、34周目にフェルスタッペンがそれぞれハードタイヤに交換。ペレスはルクレール、ノリスの後方でコース復帰となるが、35周目にノリスを、36周目にルクレールを楽々と攻略する。

 42周目、サージェントがデグナーふたつめでオーバーラン。しかし、バリアへの接触は避けることが叶い、砂まみれになりながらもコース復帰を果たした。

 43周目のヘアピンではノリスがわずかにミス。続く44周目にはサインツがノリスを攻略し、フェラーリが3番手、4番手につける。

 ただ、同じハードタイヤながら10周のアドバンテージを持つサインツがペースでルクレールに優り、46周目にルクレールはサインツに3番手の座を明け渡すことに。

 47周目、ストロールがマグヌッセンを攻略し11番手に浮上。角田の7.8秒後方まで接近。ソフトタイヤを履いたストロールは1周0.7〜1秒近く速いタイムで角田とのギャップを縮める。

 角田が10番手の座を守ることができるかが終盤の注目となり、角田もペースをコントロール。なお、ストロールは「ストレートが遅すぎる!まるで違うカテゴリーのクルマだよ!」と無線を飛ばす。

 その角田は、50周目に1分36秒557、51周目に1分36秒388と、26〜27周も走行したハードタイヤでレース終盤に自己ベストを更新する見事なレース運びを見せ、ストロールを寄せ付けない。

 また、ストロールはタイヤを酷使したか、51周目にヒュルケンベルグが11番手に浮上する。また、ファイナルラップにはラッセルがピアストリをオーバーテイク。

 レースは最終ラップとなる53周目を終え、フェルスタッペンがペレスを12.535秒引き離す圧倒的なリードでトップチェッカー。今季3勝目、自身通算57勝目をポール・トゥ・ウインで飾った。

 2位にペレスが続きレッドブルがワン・ツーフィニッシュ。3位表彰台の一角にサインツが入り、4位ルクレール、5位ノリス、6位アロンソ、7位ラッセル、8位ピアストリ、9位にハミルトンが続いた。

 そして、三度目の日本GPを迎えた角田は10位に入り、今季2度目の入賞かつ、母国日本での初入賞を果たした。トップ5チームの10台が1台もリタイアしないなかで角田は入賞し、2024年のF1日本GPは日本のファンの記憶と記録に残る一戦となったに違いないだろう。
 
 次戦となる2024年F1第5戦中国GPは、4月19〜21日に上海インターナショナル・サーキットで開催される。