中国の五羊ホンダが生産し、国内ではバイク館が販売するネオクラシック「CB190SS」に試乗しました。バイクらしいスタイリングと空冷単気筒エンジンは、どのような走りを見せてくれるのでしょうか。

スタンダードフォルムのネオクラシックモデル

 ホンダ「CB190SS」の特徴は、「バイクにあまり興味がない人が描きそう」なスタイリング……つまりバイク然とした、ごくオーソドックスなルックスにあります。

 丸目ヘッドライトにバーハンドルとスポークホイールを組み合わせ、空冷単気筒エンジンからはスポーティーなダウンマフラー、さらにダブルシートと燃料タンクもスタンダードなデザインです。

ホンダ「CB190SS」に乗る筆者(佐賀山敏行)
ホンダ「CB190SS」に乗る筆者(佐賀山敏行)

 こう書くと、なんだか普通すぎる……なんて思う人もいるかもしれませんが、いま、この「普通」って意外と少ないのです。

 エンジンは水冷が当たり前だし、ネイキッドといえどもヘッドライトは異形デザインが多くて、水冷でも空冷でもシュラウドカバーがついていて、なんだかとっても未来的ですよね。

 もちろん、それはそれで時流を捉えていて素敵なんですが、中には「時流じゃなくて、普遍的なデザインのバイクに乗りたい」という人も多いはず。CB190SSはそんなライダーにおすすめできる1台です。

スポーティーな味付けの装備が光る

ホンダ「CB190SS」(39万9000円/税込)
ホンダ「CB190SS」(39万9000円/税込)

 オーソドックスとはいえ、装備は豪華です。フロントフォークは、アウターチューブにブラックアルマイトをかけた倒立タイプを採用。

 上下分割式のLEDヘッドライトと相まって、今ドキなフロントビューです。リアサスペンションもモノタイプとなっています。

ホイールは前後ともスポークタイプで17インチ
ホイールは前後ともスポークタイプで17インチ

 前後スポークホイールがクラシカルな印象を高めていますが、ブレーキは前後ともディスクタイプ。しかもローターは防汚効果や放熱性を高めるウェーブタイプを採用していて、スポーティかつ高級感があります。

 タックロールタイプのシートやチェッカーフラッグがあしらわれた燃料タンクなど、各パーツの細かな演出も見逃せなません。ちなみに燃料タンク容量は15.3L! 燃費は公表されていませんが、かなり長い航続距離が期待できそうです。

小さいけれど、存在感をアピールするエンジン

 エンジンは空冷単気筒194ccで、比較的コンパクトなもの。しかしブラックアウトされているので見た目は精悍。さらに空冷ならではの冷却フィンも相まって、バイクの「顔」として存在感をアピールしています。

空冷4ストローク184cc単気筒エンジン
空冷4ストローク184cc単気筒エンジン

 最高出力は16.3PS/8000rpmで、排気量なりといえるでしょう。しかし、車重が145kgと軽いので、楽しい走りが期待できそうです。

必要十分なパワーで、コーナリングが気持ち良い

ホンダ「CB190SS」(39万9000円/税込)
ホンダ「CB190SS」(39万9000円/税込)

 というわけでエンジンを始動させます。歯切れの良いサウンドがマフラーから響きます。うん、これぞ単気筒!!

 シートは絞り込まれた形状なので、足つき性は良好。ライディングポジションは少しだけ前傾したもので、「街乗り」「ツーリング」「ワインディング」とあらゆるシーンに対応できそうです。今回試乗した中では、個人的に一番しっくりきました。

 いざ走り出すと、コーナーリングの気持ち良さが際立ちました。ライディングポジションとエンジンの特性がしっかり合致していて、「攻める」というわけではなく、爽快にコーナーをクリアしていく感じ。今回は教習所内を走行しましたが、街中をキビキビと走るには過不足はなし。むしろアクセルワークに気を使うことがないので、ストレスなく走れます。

タックロールタイプのダブルシート
タックロールタイプのダブルシート

 前後のサスペンションもよく動き、スポークホイールの柔軟性と相まって、乗り心地は上々です。ブレーキもコントローラブルでした。ただし、デザインを重視したであろうシートは、足つきは良いのですが、少し硬め。長時間ライディングやツーリングではお尻が痛くなりそうです。

 総じて、大きな欠点がなく「これぞ空冷単気筒バイク!」というのが、CB190SSの印象。通勤・通学からツーリングまで、毎日気兼ねなく乗りたいというユーザーには最適な1台といえそう。飽きずに長く付き合えそうです。