2024年3月21日に正式発表されたGRヤリスのマイナーチェンジ・モデルには、カタログ(標準)モデルのほかに、すでに予告されていた2種類の特別仕様車、「GRヤリスRZ“High performance・Sébastien Ogier Edition」(ハイパフォーマンス・セバスチャン・オジエ・エディション)と「GRヤリスRZ“High performance Kalle Rovanperä Edition」((ハイパフォーマンス・カッレ・ロバンペラ・エディション)も同時に発表された。

2人の世界チャンピオンが監修

この2モデルはどちらもWRCドライバー、しかもGRヤリスでワールド・チャンピオンを獲得した2人が監修したスペシャルな仕様で、まさに特別なGRヤリスになっている。新型GRヤリス東京オートサロン2024でワールドプレミアされた2週間後の2024年FIA世界ラリー選手権(WRC)第1戦のラリー・モンテカルロで世界初披露された。

専用のボディ色をまとう

外観は新型GRヤリスをベースに、オジエ・エディションは新規色の「マットステルスグレー」、ロバンペラ・エディションは「三色塗装」が施されている。

オジエ・エディションのマットステルスグレーはマットな仕上がりでありながらも独特な輝きを放つ。見る角度や光の加減で印象が異なる。ロバンペラ・エディションの三色塗装はホワイト×レッド×ブラックによるド派手なカラーリングが目を惹く。ロバンペラ選手の友人のデザイナーによるデザインが採用されたという。カッティング・シートなどを使わず、塗装のみで三色を塗り分けるという手の込んだ仕上がりになっている。

出身国にちなんだ装飾

そのほか、ディテールでは、オジェ・エディションにはフロント・グリルにオジェ選手の母国であるフランスの国旗を表すトリコロール・カラーのアクセントが入る。また、ロバンペラ・エディションにはWRCチャンピオン獲得を記念したWRC優勝記念デカールをフロントフェンダー左右に装着。細部までスペシャルな仕様であること主張する。

また、両ドライバーの出身国の国旗の色に合わせてステアリングホイールのステッチ色がそれぞれ変更。ちなみに、ロバンペラ選手はフィンランド出身。さらに、WRCチャンピオン獲得を記念した専用プレートが助手席前のインパネに装着されている。

オジェとロバンペラの走りを体感

見た目だけでなく、もちろん走りの強化も図られている。両ドライバーの好みに合わせた走りを実現するため、専用の4輪駆動制御モードが採用された。

標準モデルの「NORMAL」(ノーマル)、「GRAVEL」(グラベル)、「TRACK」(トラック)のうちノーマル以外の2つのモードをそれぞれ専用の制御内容に変更することで、両ラリー・ドライバーの走りを追体験できるような機能が盛り込まれた。

モリゾウとドーナツ⁉

オジエ・エディションには、トラクションと旋回性能を高次元で両立させるために加速時は前後輪の拘束力を最大(直結)として、制動時は必要分だけ拘束を緩める制御である「MORIZO」(モリゾウ)モードと、前輪の旋回性を確保しながら後輪の駆動力による車両コントロールを可能にするために後輪寄りの前後駆動力配分になる「SEB.」(セブ)モードも設定。

ロバンペラ・エディションには、前後輪の拘束力を最大(直結)としドリフト時のスライドコントロール性を確保する「DONUT」(ドーナツ)モードと、ロバンペラ・エディションに追加装着される等速リア・ディファレンシャルを最大限活かしリニアな挙動特性を実現する「KALLE」(カッレ)モードが新たに加わった。カッレ・モードはコーナー進入で後輪を積極的に振り出し、脱出時には駆動力でフロントを引っ張るような運転が可能になり、タイム短縮に寄与する。

異なる個性のリア・スポイラーを装着

そのほか、オジエ・エディションには新開発となるCFRP製軽量ラリースポイラーが、またロバンペラ・エディションにはGRMNヤリスにも採用された可変ウイングを備えたCFRP製リア・スポイラーがそれぞれ備わり、空力性能の向上が図られている。

スパルタンなGRヤリスをさらにレーシーに仕立てたオジェ・エディション、ロバンペラ・エディションの価格は両モデルともに845万円となっている。なお、トランスミッションは6段MTのみで、新たに加わった2ペダル8段ATのGR-DATは設定されていない。

2024年のラリージャパンで特別体験

両特別仕様車ともに100台限定の抽選販売販売となる。購入の申し込みは3月31日までで、GR Garageの店頭のみで行われる。当選結果は4月18日に連絡があり、当選者は同日以降に商談する。

また、成約者に「TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGR-WRT)」に関する特別体験プログラムの提供が予定されているのもファンにはたまらない付帯プログラムだ。具体的には、2024年のWRCラリージャパン会場でのドライバー及びチームとのコミュニケーショ、WRCマシンとピット見学、スペシャルステージ(SS)での観戦、2024年シーズン WRC参戦マシンに成約者の名前が掲示(一部のラウンドにて実施)、特別記念品などの贈呈といったもので、チームスポンサーになったかのような気分を味わえそうだ。

文=塚田勝弘

(ENGINE WEBオリジナル)