メルセデスは今週末開催されるF1第7戦モナコGPで、マシンに大型アップデートを投入。特徴的だった”ゼロポッド”がマシンから取り除かれた。

 2022年マシン”W13”で極端にスリムなサイドポンツーン、通称ゼロポッドを備えたマシンを投入したメルセデス。当初はこのソリューションでメルセデスがライバルを出し抜いたかと思われた。しかしこのW13は、ポーパシングやバウンシングなどに悩まされ、1勝を上げるのが精一杯だった。2023年に向けてこのゼロポッドを捨て去るかに注目が集まったが、結局はこのソリューションを継続することを選び、新シーズンに挑んだ。

 ただ2023年のメルセデスも苦しいシーズン序盤戦を過ごすこととなり、チームも”間違った道”に進んでしまったと公言。コンセプトを変更することを認めていた。

 アップデートの投入は当初、第6戦エミリア・ロマーニャGPになると言われていた。しかし同GPは豪雨災害の影響で中止に。モナコは狭く曲がりくねり、速度域も低い特殊なコース……しかもクラッシュのリスクも高いことから、アップデートを投入するには適さないコースと言える。しかしメルセデスは、アップデート投入を強行することになった。

 モナコGPの走行開始前日となる5月25日(木)、メルセデスが用意したアップデート版W14の姿がようやく明らかとなった。

 メルセデスは今回、新しいサイドポンツーンを準備。サイドポンツーンは現在主流となっているレッドブル風のダウンウォッシュを重視した形状となっていることが見て取れる。またサイドポンツーン以外にも、新しいフロアとフロントサスペンションも投入されている。

 メルセデスとしては、こうしたアップデートによって、パフォーマンス面を引き上げるだけでなく、ドライバーにとって走らせやすいマシンとなることを期待しているだろう。

 ルイス・ハミルトンとジョージ・ラッセルは、時にトリッキーな動きを見せるW14のバランスに不満を述べており、「予測不能」とまで語っている。

 ただ今回のアップデートで、全ての問題が解決するとまではメルセデスも考えていない。トト・ウルフ代表はモナコGPを前に次のように語った。

「私の経験では、このスポーツで全てを解決する”飛び道具”などは存在しない」

「このアップデートでドライバーにより安定し、予測しやすいプラットフォームを与えられることを期待している。そうすれば、この先の土台とすることができる」

「F1は厳しい競争の世界で、実力主義だ。我々は望んでいたようなポジションにはつけていないが、驕ったりはしていない。我々には、上位に進むためのハードワークが必要なんだ」