レッドブルのマックス・フェルスタッペンは、レッドブル・パワートレインズが製造する予定の次世代パワーユニットについて「パニックになる必要はない」と語った。

 F1は2026年にテクニカルレギュレーションが大きく変更される予定であり、2014年に導入されたパワーユニット(PU)の規格にも変化がある。1.6リッターV6ターボエンジンは継続しつつ高価で複雑なMGU-H(熱エネルギー回生システム)を廃止し、電動モーターの出力がエンジンと同等まで引き上げられる。

 その2026年から、レッドブルと姉妹チームのRBは、レッドブル傘下のレッドブル・パワートレインズ(RBPT)が開発・製造するパワーユニットを搭載することになる。現在RBPTは、フォードと協力して、イギリスの拠点で開発を急ピッチで進めている最中だ。

 これはレッドブルにとっては大きな挑戦であり、クリスチャン・ホーナー代表もチーム20年の歴史の中で「最大のチャレンジだ」と表現している。

 ただこのRBPTのPUプロジェクトは他メーカーと比較して遅れを取っているという憶測が飛び交っている。これが、チームのエースであるフェルスタッペンが離脱を検討する要因になっていのではないかと、まことしやかに語られている。

 しかし当のフェルスタッペンは「パニックになる必要はない」と考えている。

「僕が言いたいのは、もし何もかもを分かってなきゃいけないとしたら、明日生きているかどうかすら心配しなくちゃいけないだろ? ということだ」

「だから僕はこの事についてはあまり心配していないんだ」

「もちろん、僕はクリスチャンとこの件やそこで働いている人たちについて密接に話をしている。そして皆が全力で取り組んでいるから、パニックになる必要はないよ。まだ2026年じゃないんだ」

 ただフェルスタッペンは、RBPTが2026年にF1に参入するアウディやホンダ、そして既存メーカーに対抗するという「非常に大きな課題」に直面していることを認めている。

「これが非常に大きな課題だというのは分かっているし、それを軽視したりなんてしないよ。多くの定評のあるエンジンメーカーがいて、彼らに勝つことが簡単だとも思っていない」

「でも、僕たちにも優秀なスタッフがたくさんいて、このプロジェクトに取り組んでいるし、とてもワクワクしているんだ。どういった結果になるかは、その時が来れば分かるだろう」

 昨年夏、レッドブルのホーナー代表がPUのエンジンと電動モーターの出力比が50:50の形ではレースの質に影響を及ぼす懸念があり、エンジン出力の割合を高めるよう再検討することをFIAにうながした。それに対し、ライバルのメルセデスのトト・ウルフ代表は「レッドブルが遅れていることを恐れている兆候」だと示唆していた。

 なお2026年の新レギュレーションのシャシー規則がどうなるかは、まだ最終決定されていない。そのためホーナー代表の言うようにストレートでバッテリーが切れて速度を落としたりといった懸念を軽減すべく、より軽く(40〜50kg)小さく、空気抵抗の小さいクルマになるものと見られていて、可変空力デバイスを搭載する可能性も高いと見られている。

Additional reporting by Erwin Jaeggi