現代F1をほしいままにしているレッドブルとホンダのコンビネーションは、次世代レギュレーションへと以降する2025年末に終わりを迎える。2026年以降、レッドブルは傘下のパワーユニット(PU)部門”レッドブル・パワートレインズ(RBPT)”を介してフォードと提携し、独自のPUを製造・開発する。一方ホンダはアストンマーティンへワークスPUを供給する。

 2025年末で袂を分かつ両者だが、3度の世界チャンピオンであるレッドブルのマックス・フェルスタッペンとしては再びホンダと共に仕事をすることを歓迎している姿勢を見せた。

 2019年にホンダがレッドブルへPU供給を開始して以降、ホンダのF1復帰後初表彰台、初勝利、初タイトルを届けてきたのはフェルスタッペンだった。フェルスタッペンとしても、これまでのドライバーズタイトル3勝はすべてホンダ(ホンダ・レーシング/HRC含む)と共に成し遂げてきたモノだ。

 そうした中でフェルスタッペンは、ホンダに対して特別な感情を抱いているようだ。

「一緒にレースで勝てたり、タイトルを獲得できたりしたことは、ホンダと僕のハイライトだ。彼らと一緒に働けたこと、僕らがこれまで成し遂げてきたこと、そしてこれから起こるであろうこともハイライトだね」

 F1日本GPを前にした木曜日に行なわれた記者会見でフェルスタッペンはそう語った。

 そしてフェルスタッペンはホンダとの関係は「いつも本当に良好だ」と語り、記憶に残る瞬間として次のように続けた。

「忘れられない瞬間もある。僕的には、(ホンダがF1復帰後)初めての表彰台でみんなの幸せそうな顔を見られたことがそうだ。彼らは苦しいシーズンを過ごしていた訳だから、僕としてはそれを見ることができたのは本当に特別だった」

「もちろん、初優勝も忘れられない。共に過ごした時間すべて、そしてタイトルもだ。いつまでも覚えているよ」

「そして一緒に働いている優秀な人たちのこと、そして彼らの文化も忘れられない。彼らの物事への姿勢を尊敬しているんだ。彼らと一緒に仕事ができて良かったよ」

 フェルスタッペンに関しては、レッドブルF1内での上層部の覇権争いやレッドブル独自PUへの不安から、2028年の契約満了を待たずにチームを離れる可能性もあると指摘されており、考えられうる移籍先としてはビッグチームであるメルセデス、そしてアストンマーティンが挙げられている。前述の通り、アストンマーティンは2026年からホンダ製PUを使用する。

 フェルスタッペンは自身が「ホンダの大ファンだ」と公言し、将来的に両者の運命が混じり合う可能性はゼロではないと示唆した。

「もちろん、チームと仕事をするという意味で、ある時点で僕らの関係は終わるものだ。だからといってそれで終わりということじゃないし、それ以外のことも沢山ある。僕はいつだってホンダの大ファンなんだけどね! いい思い出が沢山ある」

 フェルスタッペンはそう続ける。

「他のエンジンメーカーは置いておいて……彼らもみんなそれぞれに素晴らしいけど、もちろん僕はホンダとの付き合いの方が長いんだ」

 現在ホンダと良好な関係を築いていることから、2026年以降もその関係を継続する……つまりアストンマーティンへ移籍する可能性はあるのか? と尋ねられたフェルスタッペンは毅然とした表情で次のように答えた。

「分からないよ。必ずしも2026年とかという意味じゃないだろう?」

「僕は2028年までレッドブルと契約を結んでいるから、それ以降はまず自分が続けたいのかどうかを確かめたい。どこがどうこうというよりも、それが一番重要だし、こういうことは今のところ考えていない」