メルセデスは今年、レッドブルを先頭とする上位集団でライバルと競り合っており、ドライバーのジョージ・ラッセルは「小さなことが全体の結果に大きな違いをもたらす」と考えている。

 メルセデスは2024年シーズン4戦を終えて、未だ表彰台を獲得できず、レッドブル、フェラーリ、マクラーレンの後ろコンストラクターズランキング4番手につけている。ただランキング5番手のアストンマーティンとの差はわずか1ポイントだ。

 上位集団のライバルに比べてシーズン序盤の段階で劣勢に立たされるメルセデスだが、ラッセルは“些細なこと”で状況が一変する可能性もあると考えている。

「小さなことが全体の結果に大きな違いをもたらすと思う」

 中国GPの際にラッセルはそう語った。

「予選でコンマ1〜2の差でグリッドが4つ上がるんだ。それなら(日本GPでは)ハードでスタートするという大胆な選択をしなかったはずだ。でもあの時の情報では、その大胆な選択は絶対に正しかった。レースが全く違った展開になっていただろうね」

「だから今、僕らは僅差の戦いの中にいるんだと思う。ここ数回のレース週末はクルマの特性にはあっていないサーキットふたつが舞台になり、僕たちは悪い方向に進んでしまった」

 メルセデスの今季マシンW15は高速コーナーでライバルから後れを取っており、サウジアラビアGPのジェッダ市街地サーキット、オーストリアGPのアルバート・パーク・サーキット、日本GPの鈴鹿サーキットではその弱点が露呈した。

 そのためラッセルは、上海国際サーキットで行なわれる中国GPがメルセデスのポテンシャルを示す良い指標になると見ている。

「今回の中国GPはマクラーレンと比較して、僕らがどの位置にいるのかを確認するとても良いテストになると思う」とラッセルは言う。

「彼らは高速コーナーでかなり強く、低速コーナーでは少し弱いようだ」

「だから、発揮できるポテンシャルはまだまだあると思う。ここ数戦はマシンとセットアップの最適化ができていなかったと思う。だからこそ、そこに焦点を合わせているんだ」

 チームメイトのルイス・ハミルトンは、メルセデスが中国GPでアップデートを投入しないものの、日本GPで明らかになった重要なセットアップ面での学びを引き継いでいると語った。

「僕らのマシンは何も変わっていないから、今回も同じマシンになる」とハミルトンは言う。

「でも少しは理解できた。この前の週末を振り返ってみると、改善点はあった。だからもし過去に戻れるのなら、違うことをやっていただろう。ただそれは後知恵だし、経験から得られた恩恵でもある」

「だから今回はそれをここに持ち込んで、鈴鹿だったら『もっとこうしていただろう』というような変化をいくつか実行できるかどうかも試してみる。そうすることで、少しでもパフォーマンスを上げることができれば良いね」

 なお5年ぶりの開催となる中国GPはスプリント形式での開催。週末唯一のフリー走行となる金曜日のFP1でメルセデスは予選想定を行なわずラッセルが17番手、ハミルトンが18番手と後方に沈んだ。

 ハミルトンはFP1で「このクルマは酷いね……」とボヤいていたが、この後行なわれるスプリント予選でメルセデスはこれまでの経験を活かすことができるだろうか?